- 丸瀬
- 本日はよろしくお願い致します。最初に「SmartLCA-CO₂®」について、提供されているサービスの概要を教えて下さい。
- 福武様
- 「SmartLCA-CO₂®」は、容器包装(パッケージ)に特化したCO₂排出量の算定ができるクラウドサービスです。TOPPANは創業以来、容器包装(パッケージ)をお客様に納品しており、最近は環境負荷やCO₂排出量の提示を求められることが増えています。
これまで私たちも独自にCO₂算定を行っていましたが、業界全体としてのボトムアップに向け、知識や経験、特殊な能力が必要なLCA算定を標準化したいという思いがありました。また、お客様に「SmartLCA-CO₂®」をご利用いただくことで、サステナビリティの取り組みを一緒になって推進できるような仕組みづくりを目指してこの「SmartLCA-CO₂®」を開発しました。
- 丸瀬
- 「SmartLCA-CO₂®」の使い方や算定方法を教えてください。
- 福武様
- 容器包装(パッケージ)に特化しているため、その容器包装(パッケージ)に関わる情報だけを入力していただければ、算定が可能です。具体的には、商品の情報と、その商品にどのような容器包装(パッケージ)が使われているか、さらに容器包装(パッケージ)ごとに使用されている材料や加工工程を入力・登録することで、CO₂排出量を算定することができます。
また、最近ではプラスチックの使用量の管理が重要視されていますので、プラスチックの使用重量も算定できるようになっています。
- 丸瀬
- サスティナビリティに関心のあるお客様が多いと思うのですが、
どのようなお客様からのCO₂算定のニーズやお問い合わせがありますでしょうか。
- 髙澤様
- 弊社は90年代から容器包装(パッケージ)のLCAに取り組み始めました。取り組み当初は、容器包装(パッケージ)の環境配慮やCO₂排出量に関するご要望は多くなかったようですが、特にここ数年、プラスチックごみ問題が取り沙汰された頃から、意識が少し変わったように思います。プラスチックの使用量を削減する、もしくは環境配慮をするためには何ができるのかというご相談や、プラスチック重量を減らしたい・プラスチックを減らして紙にしたいなどのご要望がここ数年増えています。
さらに、当初は環境配慮と言いますと、プラスチック使用量を削減するという視点が多かったと思いますが、最近では、より汎用的な指標であるCO₂排出量を指標として導入されるお客さまも増えた印象です。
弊社のツール「SmartLCA-CO₂®」や容器包装(パッケージ)のCO₂排出量に関してのお問い合わせをいただくことも、それに比例するように増えてきてます。
- 丸瀬
- ここからサービス間の連携に話題を移しますね。今回、SustechのCARBONIXと協業することになった経緯について教えて下さい。
- 福武様
- 我々のサービス自体は昨年立ち上げたばかりで、この業界の中ではかなり後発です。さらに、機能が容器包装(パッケージ)に特化しているため、我々単独で事業を成し得るのかどうか不安もありました。そんな中で、すでに市場でしっかりとシェアを持たれているサービス企業様とご一緒できることは、非常にありがたいお話でした。
具体的には、機能開発の段階からご一緒させていただき、第1号として手を挙げていただいたことに、感謝しています。また、当社のグループ会社との間で関わりのあった企業であることも、大きな要因の一つです
- 丸瀬
- 連携をするにあたり実際CARBONIXを使っていただいたと思うのですが、顧客の視点でCARBONIXの印象、感じた点を教えて下さい。
- 福武様
- まず、実際に触ってみて、皆さんが行っている排出量算定の詳しい内容がわからない状態でも、どこに入力すればよいかマニュアルを見ずに操作を始めることができました。それでも結果を導き出せるUIとUXになっていて、素晴らしいと思いました。
デザイン的にも落ち着いた印象で、業務で使用していく中でも使いやすいだろうと感じました。
- 髙澤様
- 私は普段からCO₂排出量の算定を行っていますが、CARBONIXは機能と画面がシンプルで直感的に操作・入力が行えるため、使いやすいと感じました。
またデザインが洗練されていて、御社に「デザインは自社内でやられているんですか?」と最初に聞いたことを覚えています。
- 丸瀬
- お気遣いありがとうございます。
- 丸瀬
- 今回の連携により、顧客にもっとも感じて欲しい価値はどんなものになりますか?
- 福武様
- 繰り返しになりますが、容器包装(パッケージ)に特化したサービスですので、単独では広く社会に影響を与えるとは言い難い部分もあります。しかし、御社とご一緒させていただくことで、その影響範囲はより大きくなると考えています。
製品開発の現場において、企業全体のCO₂排出量を可視化しようとしても、理解が進みにくいことがあると思いますし、製品開発に関わる全ての人がカーボンフットプリントを算定できるようなスキルを身につけるのも難しい課題です。
我々は容器包装(パッケージ)に特化していますが、その狭い範囲でも誰でも簡単にCO₂を可視化し、自分たちの取り組みが環境に良い影響を与えているかを確認できるようにすることを目指しています。さらに、その取り組みを企業全体の活動として報告し、可視化できることが、お客様に提供できる最大の価値だと思っています。
- 丸瀬
- 弊社も容器包装(パッケージ)の算定を行える御社とシステム連携を行うことで、ユーザー様にとっては非常に可視化をしやすくなっていくのではと考えております。
- 丸瀬
- 最後に「SmartLCA-CO₂®」の今後の展望についても教えて下さい。
- 福武様
- 容器包装(パッケージ)のCO₂に特化していると言いながらも、不得意な部分が多いのも事実です。まずは、容器包装(パッケージ)のCO₂排出量算定において唯一のサービスと言えるように、容器包装(パッケージ)に関してより深く掘り下げていくことが、世の中やお客様に提供できる価値だと思っています。
その上で、可視化した後にそれを実際に削減する取り組みや、対外的に情報を発信して生活者の方々に企業の活動を理解していただけるようなコミュニケーションの支援など、TOPPANグループの総合力を生かして、実際に事業をサステナビリティの方向に持っていけるようなご支援を提供できればと思っています。
昨年、TOPPANではSMARTS™(スマーツ)というサステナビリティブランドを立ち上げました。これにより、可視化だけでなく、我々の持っているソリューションを用いて、企業のサステナビリティをしっかりと推進していく体制を整えています。
- 髙澤様
- CO₂算定は、知識やノウハウ、人財などの観点で、実施できる企業は多くないのが実情と考えています。CO₂の見える化を積極的に進めることで一つのケーススタディを示し、業界を先導することも私たちの大切な役割だと思っています。
容器包装(パッケージ)は、商品の顔とも言える構成要素の一つです。容器包装(パッケージ)を起点に環境配慮活動を進め、他の業界の先行事例となるような取り組みにしたいと考えています。 容器包装CO₂排出量算定クラウドサービス
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