• HOME
  • 記事
  • Scope3
  • カテゴリ1(Scope3)。購入した物品の製造段階での排出量が購入額などから算定

カテゴリ1(Scope3)。購入した物品の製造段階での排出量が購入額などから算定

category1-main
Scope3

スコープ3カテゴリ1(Scope3 Category1)では、購入した原材料、部品、容器、包装などが製造される過程で排出された温室効果ガスの量を製品ごとに算定します。物品だけでなくソフトウェアなどのツールも該当します。購入元が温室効果ガス排出量を算定しており、情報共有してもらえれば正確な値を把握することができますが、現実的には購入した量や金額から算定するケースが多くなっています。

このページでは、Scope3カテゴリ1「購入した製品・サービス」について、該当する製品・サービスの範囲や計算方法などを具体例を交えてご説明していきます。

カテゴリ1で製品の仕入れまでのCo2排出量を算定

Scope1、2、3全体図

Scope1、2、3全体図

カテゴリ1クローズアップ

カテゴリ1クローズアップ
出典:環境省ホームページ「物語でわかるサプライチェーン排出量算定」

スコープ3カテゴリ1(Scope3 Category1)は、購入した製品、サービスが該当し、原材料、部品、容器、包装などが製造される過程で排出された温室効果ガスの量を算定します。

仕入れた製品は全て算定対象ですので、多数の商品を仕入れて消費者に販売するスーパーマーケットや家電量販店、コンビニエンスストアのような事業者は、算定する製品の数が膨大になりがちです。

そうでなくても、何かしらの原材料やサービスの仕入れを行っている事業者がほとんどで、Scope3の中でも重要なカテゴリの一つです。

上流のサプライヤーは全てが算出対象

自社カテゴリ1
(2次サプライヤー)
 カテゴリ1
(1次サプライヤー)
 Scope1
冷凍野菜を販売する食品会社 農家で野菜を育成 食品会社で加工・調理
掃除機を販売する家電量販店部品メーカーで掃除機に使うネジなどを製造家電メーカーで掃除機を製造家電量販店で販売
自社冷凍野菜を販売する食品会社掃除機を販売する家電量販店
カテゴリ1
(2次サプライヤー)
部品メーカーで掃除機に使うネジなどを製造
  
カテゴリ1
(1次サプライヤー)
農家で野菜を育成家電メーカーで掃除機を製造
  
Scope1食品会社で加工・調理家電量販店で販売

食品会社で販売する冷凍野菜、家電量販店で販売する掃除機を例に、カテゴリ1に該当する工程を記載しました。

カテゴリ1に該当する購入先企業をサプライヤーと言い、自社が取引する1次サプライヤー以前にも生産工程がある場合は、2次サプライヤー、3次サプライヤーといったように増えていきます。

上の表では食品会社のサプライヤーは野菜を育てている農家だけでした。

一方で家電量販店は、掃除機を製造した家電メーカーが1次サプライヤー、ネジを製造した部品メーカーが2次サプライヤーとなりました。

この家電量販店のようなケースでは、1次サプライヤーだけでなく、2次サプライヤーでの温室効果ガス排出量も算定する必要があります。

また、表では食品会社のサプライヤーは農家だけになっていますが、冷凍野菜を納品する際に段ボールやビニール袋を使用していたとしたら、段ボールなどの製造会社もサプライヤーとなり、温室効果ガスの排出量を算出する必要があります。

つまり、1つの商品で複数の1次サプライヤーが存在するケースもあるということです。

購入した製品が自社に届くまでの全過程で関わった全物品が対象になるとお考えください(輸送・配送は除く)。

カテゴリ1の具体例

カテゴリ1に該当する製品、サービス一例

  • 建設業が調達した資材
  • 物流会社が購入した包装材
  • 航空会社が購入した整備用備品
  • 文具販売店が仕入れた商品
  • 家電メーカーから受け取ったカタログ
  • スーパーマーケットが仕入れた飲食品
  • 飲食店で従業員が着用するユニフォーム
  • ホテルが外部に委託したクリーニング
  • タクシーが会社が外部に委託したタクシーの修理
  • IT企業が契約しているインターネットサーバー
  • 企業で導入している業務管理システム

環境省が公表している資料などを参考に、カテゴリ1に該当する製品、サービスの一例をリストアップしました。

カテゴリ1は、「自社が購入・取得した原材料、中間製品、最終製品(仕入れ商品を含む)」と「自社が購入・取得したソフトウェア等のサービス」に分かれます。

前者は、販売する製品や、仕入れた部品、梱包材、製作に必要な工具、製品を販売するためのカタログ、販売する従業員が着用する制服などが該当します。

後者は物品ではなくサービスが当てはまり、上記のうち、クリーニング、タクシーの修理、インターネットサーバー、業務管理システムが該当します。

商品を売るため、販売を継続的に行うために購入しているものであれば、カテゴリ1に該当する可能性があります。

ただし、トラックやビルなどの高価なもの、物流など配送サービスはカテゴリ1には含まれませんのでご注意ください。

カテゴリ1に該当しない製品・サービスの一例

  • 物流会社が購入したトラック(カテゴリ2)
  • 食品会社が建設会社に依頼して作った自社工場(カテゴリ2)
  • 飲食店の新規店舗の内装(カテゴリ2)
  • 取引先へ製品を発送する際に依頼した配送サービス(カテゴリ4)

原則として全ての製品・サービスを算定する

製品、サービスの一例をご紹介してきましたが、カテゴリ1に該当する製品、サービスが一つや二つという企業は少なく、多くの企業ではたくさんの製品、サービスが該当するはずです。

そのカテゴリ1に該当する製品、サービスについて、原則として全て算出する必要があります(全てを算出しない方法もあり、後述しています)。

そのため、商品数が多い企業の場合は、非常にたくさんの製品、サービスが対象となり、これを店舗、エリアなど管理している単位で算出しなければなりません。

カテゴリ1に該当するもの(スーパーマーケットの場合)

  • 仕入れた商品(数千〜数万点)
  • 商品の包装などで使用した包装材
  • 店内で使用するカゴやカート
  • 従業員の制服(購入、クリーニング)
  • チラシや店内のPOP
  • 外部業者に依頼する店舗清掃 など

カテゴリ1の計算方法

サプライヤーごとの排出量

または

事業者が購入・取得した製品またはサービスの物量・金額データ×排出原単位

カテゴリ1の温室効果ガス排出量は、上記のいずれかの方法で算出をします。

「サプライヤーごとの排出量」は、1次サプライヤーや2次サプライヤーが算出した温室効果ガスの排出量を共有してもらう方法です。

これであれば、確度の高い温室効果ガス排出量を把握することができます。

しかし、何百、何千と商品がある場合に、全てのサプライヤーから情報提供してもらうのは現実的ではありません。

さらに、「サプライヤーが温室効果ガスを算出していない」、「2次サプライヤーは取引がなく連絡先すらわからない」というケースも多いです。

そのため、現状では「サプライヤーごとの排出量」ではなく、「自社が購入・取得した製品またはサービスの物量・金額データ×排出原単位」の計算式で温室効果ガスの排出量を算定するケースが多くなっています。

「事業者が購入・取得した製品またはサービスの物量・金額データ」は製品を購入した量または金額ですので、管理している部署や購入金額を把握している経理などから情報提供を受けることで、数値を把握できます。

「排出原単位」は、活動量あたりのCO2排出量のことで、下記のように製品ごとに値が決まっていて、排出原単位データベースに記載されています。

部門名物量ベースの
排出原単位
生産者価格ベース
(金額ベース)の排出原単位
購入者価格ベース
(金額ベース)の排出原単位
砂糖1.1028.195.85

表にある物量ベースとは、購入した量から計算する場合に使用する数値です。

金額ベースとは購入した金額から計算する場合に使用する数値で、生産者価格ベースと購入者価格ベースの2種類があり、生産者(ネジを購入する際の部品メーカーなど)から購入している場合は生産者価格ベース、商社や小売などから購入する場合は購入者価格ベースを使用します。

また、購入した物量や金額からカテゴリ1を算定する際は、可能であれば物量ベースと金額ベースのどちらかに統一して算出しましょう。

製品によって計算する単位が異なると、カテゴリ1の合計値を正しく把握できないためです。

物量ベースの排出原単位がない製品もありますので、製品数が多い事業者は金額ベースの方が良いかもしれません。

カテゴリ1でよくある質問

環境省が公表している「サプライチェーン排出量算定におけるよくある質問と回答集」の中からカテゴリ1に該当する質問をいくつか抜粋しました(一部言葉を編集しています)。

排出原単位データベースに算定したい品目がないときはどうすれば良いですか?

算定者が既に把握している活動量に合致する排出原単位が存在せず、産業連関表ベースの排出原単位を使用する場合には、日本標準商品分類等を参考に、排出原単位が存在する当該活動が含まれる上位項目を特定し、その上位項目の排出原単位を使用してください。

原則としては、全ての排出量を算定する必要があります。一方で、「Scope3基準」では、総支出額における調達品目ごとの支出割合を用いたデータ収集優先順位の考え方が示されています。「Scope3基準」では、サプライヤーの優先順位付けの考え方として、1.総支出額における支出額が80%以上のもの、2.残り20%の支出の内、個々に1%を超える支出があるものを対象とする内容が記されています。

海外から調達した製品では、排出原単位はどれを用いればよいですか?

排出原単位データベースにある「海外の排出原単位データベース」から適切なデータベースを選定し、更に選定したデータベースから適切な排出原単位を選定して用いる方法があります。なお、海外排出原単位を用いた算定は非常に難易度が高いため、まずは国内排出原単位を用いて算定している事業者が非常に多いです。

カテゴリ1の算定にはCO2排出量算定サービスが便利

カテゴリ1に該当する製品が多い事業者は、CO2排出量の算定サービスを導入することで、排出量の算定にかかる時間の短縮や毎年のデータ管理などのメリットがあります。

カテゴリ1の概要や算定式を把握したとしても、算定する製品が何千、何万もあると情報収集だけで時間がかかり、そこから排出原単位を確認しながら一つ一つ算出していくのは途方もない時間がかかります。

CO2排出量の算定サービスがあると、物量ベースまたは金額ベースの数値を入力すれば自動で排出量の算定をしてもらえますし、計算を間違えるリスクも軽減することができます。

ツール上でデータを管理できますので、前年の数値の確認なども容易です。

CO2排出量の算定は今後、継続して行っていくものですので、早い段階から算定サービスを導入しておけば社内での算定フローの確立や、算定に要するコストの削減などにも繋げることができます。

Scope3の各カテゴリについて

Scope3には、15のカテゴリとその他(任意)があります。

このページでは、カテゴリ1についてご説明していますが、カテゴリごとの対象範囲を把握していた方がカテゴリ1の理解も深まります。

下記に各カテゴリの詳細を記載いたしますのでご参考ください。

NOScope3カテゴリ該当する活動(例)
1購入した製品・サービス原材料の調達、パッケージングの外部委託、消耗品の調達
2資本財生産設備の増設(複数年にわたり建設・製造されている場合には、建設・製造が終了した最終年に計上)
3Scope1,2に含まれない燃料及びエネルギー活動調達している燃料の上流工程(採掘、精製等)調達している電力の上流工程(発電に使用する燃料の採掘、精製等)
4輸送、配送(上流)調達物流、横持物流、出荷物流(自社が荷主)
5事業から出る廃棄物廃棄物(有価のものは除く)の自社以外での輸送(※1)、処理
6出張従業員の出張
7雇用者の通勤従業員の通勤
8リース資産(上流)自社が賃借しているリース資産の稼働(算定・報告・公表制度では、Scope1、2 に計上するため、該当なしのケースが大半)
9輸送、配送(下流)出荷輸送(自社が荷主の輸送以降)、倉庫での保管、小売店での販売
10販売した製品の加工事業者による中間製品の加工
11販売した製品の使用使用者による製品の使用
12販売した製品の廃棄使用者による製品の廃棄時の輸送(※2)、処理
13リース資産(下流)自社が賃貸事業者として所有し、他者に賃貸しているリース資産の稼働
14フランチャイズ自社が主宰するフランチャイズの加盟者のScope1,2 に該当する活動
15投資株式投資、債券投資、プロジェクトファイナンスなどの運用
 その他(任意)従業員や消費者の日常生活
出典:グリーン・バリューチェーン プラットフォーム

Scope3(カテゴリ1)の算出にはサプライヤーからの協力が不可欠

カテゴリ1(Scope3)の温室効果ガス排出量を算定するには、物品の購入元であるサプライヤーに情報提供をしてもらう必要があります。
算定には時間や労力を要するため、関係者からの協力を得ることが難しい場合が多々あります。そこで、サプライヤーから協力を得るためにできることや、もし協力を得られなかった場合の対処法をご紹介します。

サプライヤーからの協力を得るためにできること3つ

① 意識を共有して協力を促す
サプライヤーとコミュニケーションをとり、持続可能性やGHG排出量削減の重要性について説明する機会をつくりましょう。意識を共有した上で、共通の目標などを設定して目標に向けての第一段階としてGHG排出量算定の協力を促します。
② GHG算定しやすい環境を提供する
サプライヤーがGHG排出力算定をできるように、具体的な算出方法についての講座や研修を行って知識やスキルの向上を図ります。さらに、算出に必要なガイドラインや算定ツールなどを提供すれば、サプライヤーの負担を軽減でき、データの取得をサポートすることにもつながります。
③  契約時にGHG算定を義務付ける
大きな企業であれば、GHG排出量算定を物品購入の契約の要件として義務付けてしまうのも手です。もしくは、GHG排出量の報告や削減量に応じてインセンティブを設けるという方法もあります。

サプライヤーからの協力を得られなかった場合

サプライヤーに、Scope3(カテゴリ1)算出の協力を得られなかった場合は、推定で算出を進めることになります。環境省の「産業連関表」から平均値データを参考に計上するのが一般的です。購入が必要にはなりますが、産総研のデータベース「IDEA(イデア)」を使えば、より精密なデータが取れます。ただし、あくまでも平均値なので、どうしても実際の排出量とは異なってきます。

まとめ

Scope3カテゴリ1の範囲や計算方法についてご説明いたしました。

最後にこの記事でお伝えした大事なことをおさらいしておきましょう。

  • カテゴリ1は、購入した製品、サービスが該当
  • 原則として全ての製品・サービスを算定する
  • サービスの物量・金額データ×排出原単位で算出することが多い
  • カテゴリ1の算定にはCO2排出量算定サービスが便利

カテゴリ1に限った話ではありませんが、Scope3に該当する温室効果ガスは、正確な排出量の算定ができた方が良いですが、算定項目が多い事業者にとって、全てを正確に算定するのは、現実的ではありません。

そのため、まずはできる方法で、できる範囲で算定を行って毎年算定することを習慣化し、徐々に算定データの確度を上げていくことが望ましいです。

カテゴリ1がScope3の中心となる事業者は多いです。

一つずつ丁寧に確認し、算定サービスの導入などで効率化を図りながら、算定をしていきましょう。

関連記事一覧