再生可能エネルギーの基礎、メリット・デメリットについて

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日々進化する技術と、今後の環境を考えた持続可能な社会の実現に向けて、再生可能エネルギーの注目度が高まっています。温室効果ガスの排出削減や化石燃料に依存しない安定したエネルギー供給のため、多くの国々で導入が進められているのです。本記事では、再生可能エネルギーとは何か、その種類や特徴、メリットとデメリット、経済への影響や政策についてわかりやすく解説していきます。

再生可能エネルギーとは

再生可能エネルギーとは、化石燃料のような枯渇性の資源に頼らず、自然の営みから継続的に得られるエネルギー源です。

これらのエネルギー源は、使用しても枯渇することがなく、また排出される二酸化炭素が少ないため、地球環境にやさしいとされています。特に現代社会では、化石燃料の枯渇リスクや地球温暖化への対策が重要視されており、持続可能な開発が求められる中で再生可能エネルギーの役割は非常に大きなものとなっています。

さらに、国内で生産できることから、エネルギー安全保障にも寄与できる有望かつ多様で、重要な低炭素の国産エネルギー源とも言えるでしょう。現在、日本の再エネ導入量は世界第 6 位で、先進国の中でもかなりハイスピードで再エネルギー化が進んでいます。

各種再生可能エネルギーの詳細とメリットデメリット

太陽光発電

太陽光発電は、太陽の光エネルギーを直接電気に変換する技術です。光電効果を利用した太陽電池パネルを設置し、発電を行います。

[メリット]

  • 太陽光は無尽蔵のクリーンエネルギー源であるため、再生可能で非枯渇性
  • 発電時にCO2を排出しない環境に優しいエネルギー
  • 分散型電源が可能 大規模集中型発電所に頼らず、需要地近くに設置可能
  • 資源の無い国でも導入可能 日照条件さえ整えば、エネルギー自給が可能
  • ランニングコストが低い 設備投資後は電力が持続的に得られる

[デメリット]

  • 設備コストが高い 初期投資コストが比較的高額
  • 日射の変動による出力変動 天候や季節により発電量が変動する
  • 立地条件による制約 十分な日射量が得られる場所でないと導入が難しい
  • 設備スペースが必要 パネルの設置面積を大量に要する

風力発電

風力発電は、風の力を利用して発電を行う方法で、風車のような形をしたタービンに風を当てて回転させ、その動力を電力に変換します。

[メリット]

  • 風は無尽蔵のクリーンで再生可能なエネルギー源であるため、再生可能で非枯渇性の資源 風は無尽蔵のクリーンで再生可能なエネルギー源
  • 発電時にCO2を排出しない環境に優しい発電方式
  • 資源の無い国でも導入可能 立地条件さえ整えば、どの国でも風力発電が可能
  • 太陽光と比べて設置に必要な面積が小さい
  • 運転コストが低廉 風力自体が無料の資源なので、運転コストが低い

[デメリット]

  • 立地条件による制約が大きい 風況の良い場所でないと発電効率が下がる
  • 低周波音や景観への影響 風車の設置による住環境や景観の悪化が指摘される
  • 出力変動が大きい 風の強弱により出力が大きく変動する
  • 系統安定化対策が必要 出力変動に対する系統側の対策が不可欠
  • 設備コストが高額 大型の風車は1基当たりの設備コストが高い

地熱発電

地熱発電は、地球内部からの熱エネルギーを利用する発電方法です。高温の蒸気や温水を地下から汲み上げ、タービンを回転させて発電します。

[メリット]

  • 安定的に発電可能 太陽光や風力と異なり、出力が安定している。
  • CO2排出量が少ない 火力発電に比べて温室効果ガスの排出が大幅に少ない。
  • 立地の制約が比較的小さい 火山国家や環太平洋地域に適地が多数存在する。
  • 発電コストが低廉 初期投資は高いが、運転コストが安価。
  • 設備利用率が高い 設備を高い稼働率で運転できるため、発電効率が良い。

[デメリット]

  • 立地環境が限られる 地熱資源の賦存が必要なため、適地が局所的。
  • 温泉や地熱との調整が必要 土地の地熱利用と調整が不可欠。
  • スケールメリットが小さい 小規模発電所が多く、大規模化が難しい。
  • 補修・維持コストが高額 高温・高圧の厳しい環境下での設備保全コストが嵩む。
  • 環境影響への配慮が必要 熱水の排出や地熱の枯渇などに留意が必要。

中小水力発電

中小水力発電は、川の流れを利用して発電する方法で、ダムや水車を使います。

[メリット]

  • CO2を排出せず、水資源の循環利用が可能。
  • 運転コストが低廉 発電に費やすコストが比較的低い。
  • 出力の調整が可能 貯水池を活用することで出力調整が可能。
  • 発電所のプラント寿命が長い 60年以上の長期運転が可能。
  • エネルギー密度が高い 設備面積当たりの発電量が大きい。

[デメリット]

  • 立地条件が限定的 十分な水量と落差が得られる地点に制約される。
  • 建設コストが高額 ダム建設などの初期投資コストが膨大。
  • 環境への影響が大きい 生態系破壊や渇水、水没地域の発生など。
  • 発電が不安定 渇水期の水量減少で発電量が低下する恐れ。
  • 設備老朽化が課題 老朽化に伴う改修コストの増加が避けられない。

バイオマス発電

バイオマス発電とは、木質や農作物の残渣、家畜の糞などの有機質バイオマスを燃料として使用する発電方法です。

[メリット]

  • 木くず、一般廃棄物、食品残渣など、再生可能な有機性資源を利用。
  • 化石燃料と比べてCO2排出量が大幅に少ない。
  • 廃棄物処理に貢献 一般廃棄物や産業廃棄物の減量化に役立つ。
  • 熱電併給が可能 発電とともに排熱を有効利用できる。
  • 地域資源の有効活用 地域で発生するバイオマス資源を地産地消できる。

[デメリット]

  • バイオマス資源の確保が難しい 安定的な資源の調達と輸送が課題。
  • 一般の火力発電より発電効率が劣る。
  • 燃焼ガスへの対策が必要 燃焼に伴う窒素酸化物NOx、硫黄酸化物SOxなどの排出対策が必要。
  • 燃料費の変動リスクが高い 化石燃料同様、燃料費の変動リスクがある。
  • 初期投資コストが高額 ボイラー設備などの導入コストが高い。

原子力発電

原子力発電は、原子核の分裂反応を利用して発生する熱エネルギーから電力を生み出す方法です。

[メリット]

  • 発電時にCO2を排出しないため、地球温暖化対策に貢献できる。
  • エネルギー密度が高い 化石燃料に比べエネルギー密度が非常に高い。
  • 発電コストが低廉 運転コストが安く、長期的には発電コストが低い。
  • 電源の安定性が高い 化石燃料への依存度が低く、安定供給が可能。
  • 立地の自由度が高い 火力発電に比べ立地条件に制約が少ない。

[デメリット]

  • 高レベル放射性廃棄物の最終処分場の確保が大きな課題。
  • 重大事故が発生すると、環境に甚大な被害が及ぶリスクがある。
  • 核兵器との関連性 核不拡散の観点から、技術の軍事転用が危惧される。
  • 燃料サイクルコストが高い
    ウラン燃料の供給コストが高額である。
  • 社会的受容性の問題 住民の理解が得られにくいことがある。

火力発電+CCS(CCUS)

火力発電に組み合わせると有効なCCS(Carbon dioxide Capture and Storage)は、石炭や天然ガスなどを燃焼させた際の二酸化炭素を回収して地中に貯蔵する技術です。さらに、貯蔵したCO2を古い油田に注入することで、油田に残った原油を圧力で押し出すなど、分離・貯留したCO2を利用するCCUS (Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)という技術も開発されています。

[メリット]

  • 発電時のCO2をほぼ100%回収・貯留できれば、ゼロエミッションに近づける。
  • 既存の発電所への適用が可能 新設の発電所だけでなく、既存の火力発電所にも導入が可能。
  • 石炭や天然ガスなどの化石燃料の利用を維持できる。
  • 国産エネルギー資源に乏しい国でも、化石燃料の利用が可能。
  • 回収したCO2を肥料や化学品の製造等に活用できる可能性がある。

[デメリット]

  • 導入コストが高額 CO2回収設備や輸送・貯留インフラへの多額の投資が必要。
  • CO2の分離・回収にエネルギーを使うため、発電効率が低下する。
  • CO2貯留の安全性確保が必須 地中貯留の長期安全性や漏洩リスクへの対策が不可欠。
  • CCUS全体としての環境影響 排出物の輸送や圧入作業に伴う環境影響が発生する。
  • 貯留サイトの選定など、地域住民の理解が必要。

固定価格買取制度(FIT)の概要

固定価格買取制度(FIT)は、Feed-in Tariffの略で、再生可能エネルギーによる発電に対して国が一定の価格で電力を買い取る制度です。買取価格と期間は、エネルギー源ごとに国が決めています。

例えば太陽光では10年~20年、風力では20年などです。この制度により、発電事業者に長期間の収入が保証されるため、再生可能エネルギー事業への投資が促進されます。費用負担は、電気料金に賦課金として上乗せされ、電力消費者が実質的に負担します。再生可能エネルギーの普及が進めば、徐々に賦課金は下がっていく仕組みです。

日本では2012年7月にFIT制度が開始され、太陽光発電を中心に再生可能エネルギーの導入が進みました。一方で、買い取り価格が市場価格よりも高い場合は、その分が消費者の電気料金に転嫁されるという問題も存在します。

再生可能エネルギーの売買手順

再生可能エネルギーを売買はこのような手順で行われています。

  1. 発電所設置・運転開始 発電事業者が、太陽光、風力、地熱など再生可能エネルギー発電所を設置し、発電を開始します。
  2. 電力会社との契約 発電事業者は、発電した電力を買い取ってくれる電力会社と「再生可能エネルギー電気特措法(FIT)」に基づく契約を結びます。契約で買取価格、期間、条件などが決まります。
  3. 計量 発電量を専用の計量器で正確に計測します。
  4. 売電 計測した発電量分の電力を、電力会社の送電線に逆潮流(売電)します。
  5. 検針・請求 電力会社が定期的(通常月単位)に発電量を検針し、契約に基づいて売電金額を算出します。
  6. 支払い 電力会社から発電事業者に売電金額相当額が支払われます。

再生可能エネルギーの経済への影響

再生可能エネルギーの普及は、化石燃料の輸入依存度を低下させることから、エネルギーセキュリティの向上と国内産業の活性化に寄与します。また、新たな雇用創出や地域経済の活性化にも繋がります。しかし、技術開発やインフラ整備には莫大なコストがかかるため、その財政的な負担は経済全体への影響を及ぼす可能性もあります。さらに、太陽光発電や風力発電を主軸とすると、電力系統の安定運用が困難になる可能性があります。

再生可能エネルギー発電促進賦課金について

再生可能エネルギー発電促進賦課金は、FIT制度による再生可能エネルギーの買取コストを賄うため、電力消費者が支払う料金です。この賦課金は、電気使用量に応じて徴収され、電気料金の一部として請求されます。このシステムにより、再生可能エネルギーの導入支援が行われていますが、電気料金の増加に繋がるという側面もあります。そのため、再生エネルギーの導入率の向上を目指すには、消費者の温暖化対策に対する理解を深めることが必要不可欠です。

まとめ

再生可能エネルギーは、その持続可能性や環境への配慮から、今後のエネルギー政策の中心となることが予想されます。太陽光、風力、地熱など各種エネルギー源にはそれぞれのメリットとデメリットがあり、これらを理解した上で適切なバランスで導入を進めることが重要です。経済や社会に与える影響を考慮しながら、再生可能エネルギーを普及させる政策や技術開発が今後も進むことでしょう。エネルギーの未来を考える上で、エネルギー消費量の多い企業はもちろん、私たち一人ひとりが再生可能エネルギーについての知識を深め、賢い消費者として行動することが求められています。

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