環境配慮とは?持続可能な事業成長に有効な6つの実践方法を解説

基礎知識

産業活動に伴う温室効果ガスの排出が地球規模で環境を悪化させています。企業は経済的な利益を追求するだけでなく、ビジネスを通じて環境に配慮した取り組みを進めなければなりません。

本記事では環境配慮の概念、企業が取り組む環境配慮の実践方法、環境配慮を証明するエコラベリングについてわかりやすく解説します。

環境配慮とは

「環境配慮」は環境に与える影響を最小限に抑える取り組みです。具体的には、環境に配慮された製品作り、無駄なエネルギーを使わない行動などが挙げられます。個人、企業、行政がそれぞれ環境配慮への理解を深め、協力して取り組むことが重要です。

環境に配慮された物

環境に配慮された物を生産、使用することで、エネルギーや資源の使用削減につながります。物には製品の他、建物も含まれます。エコフレンドリーな製品、グリーンビルディング※1などが該当します。

※1 グリーンビルディングは環境に配慮した建物を指します。日本では日本政策投資銀行が主導する「DBJ Green Building認証制度」によって評価されます。
参照:日本政策投資銀行「DBJ Green Building認証」

環境配慮の行動

環境配慮の行動として、日常生活での節電、ロジスティクスなどでのCO2削減、再生可能エネルギー導入促進などが挙げられます。個人レベルでできるものから、企業や行政で中長期的に取り組むものまで様々です。本来の経済活動を阻害せずに環境配慮を進めることが大切です。

企業ができる環境配慮の実践方法6つ

●事業で使うエネルギー効率を改善する
●再生可能エネルギーを使用する
●製品の材料には持続可能な資源を使うようにする
●温室効果ガスの排出量を削減する
●廃棄物を減らし再利用やリサイクルをする
●従業員の環境意識を高める

産業活動には資源消費や温室効果ガス排出が伴います。地域社会の自然や生態系の保護につながる企業の環境配慮はとても重要です。ここでは、企業ができる環境配慮の実践方法を6つにまとめて解説します。

事業で使うエネルギー効率を改善する

社内で使用する家電や車両を省エネタイプに変更することで、エネルギー消費を削減できます。エネルギー効率の高い電子機器、LED照明、ハイブリッド車や電気自動車への切り替えが効果的です。

設備使用においても環境配慮を図ります。こまめな電源オフ、時間帯に応じた空調設定でエネルギーの節約ができます。

再生可能エネルギーを使用する

再生可能エネルギーを活用することで、CO2排出量削減に貢献できます。 ソーラーパネルや風力タービンを工場に設置し、電力供給源を再生可能エネルギーに切り替えます。環境によっては、水力発電も利用できる場合があります。また、EV※2のための充電ステーションを社内敷地に設置し、従業員のEV利用を促すといった取り組みも有効です。
※2 EV( Electric Vehicle)電気自動車

製品の材料には持続可能な資源を使うようにする

持続可能な資源/素材具体例
認証された木材森林管理協議会(FSC※3)認証
持続可能な森林管理に関するプログラム(PEFC※4)認証
リサイクル素材プラスチックや金属などのリサイクル素材
中古/廃材などからの素材採取
生分解性素材バイオプラスチック
紙製包装材
地域で生産された資源地元調達可能な材料
副産物
エシカルな原材料労働環境や環境保護に配慮した企業からの調達材

リサイクル素材、生分解性のある素材を使うことで、資源の効率的な利用と廃棄時の負荷軽減ができます。地域からの材料調達や調達手法にも環境配慮することで、持続可能なサプライチェーンの形成と地域社会への貢献につながります。

【取り組み事例:IKEA】
IKEAは世界最大の家庭用品・家具メーカーです。高品質で手頃な価格の製品を提供するだけでなく、持続可能な資源の使用にも積極的です。2020年までに、使用する木材の100%をFSC認定またはリサイクル品にする目標を掲げ、すでに約80%を達成しています。また、合成素材のリサイクルや複合材の活用で、環境負荷を低減する取り組みも進めています。

※3 FSC(Forest Stewardship Council)
※4 PEFC(Pan European Forest Certification Schemes)
参照:IKEA「素材選び―大規模なビジネスを展開する企業としての大きな責任」

温室効果ガスの排出量を削減する

温室効果ガスの種類発生源、含有物の例
二酸化炭素(CO2)化石燃料の燃焼(発電所、工場、輸送機関)
メタン(CH4)家畜の排泄物、天然ガス生産、農業
一酸化二窒素(N2O)肥料の使用、畜産、
産業プロセス、自動車の排ガス
フロン類冷蔵・空調機器、発泡剤
半導体製造、消火器
六フッ化硫黄(SF6)半導体製造、絶縁体、冷却剤
三フッ化窒素(NF3)半導体製造、液晶パネル製造

産業活動によって排出される温室効果ガスの種類はさまざまです。それぞれの業界やプロセスで適切な排出削減の取り組みを進めることが大切です。

廃棄物を減らし再利用やリサイクルをする

廃棄物削減においては、特に3R※5への理解を深め、それぞれの取り組みを積極的に進めることが重要です。
リデュースは、材料の削減や製品の軽量化などで廃棄物発生を抑えます。リユースは、不用品や中古品から部品を集め、再利用を図る取り組みです。リサイクルは商品を整備して再販売することで、資源の有効活用を実現します。
※5 3R(Reduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル))

従業員の環境意識を高める

方法内容
教育と研修最新の環境情報や企業方針を伝える教育プログラム
環境破壊が問題となっている地域への研修旅行
社内キャンペーン社内啓発ポスター設置
経営陣のスピーチ
インセンティブ環境貢献に取り組んだ従業員に報奨や評価
職場環境の整備分別しやすいゴミ箱
エコフレンドリーな備品

従業員の環境意識を高めることで、職場だけでなく日常生活でも環境配慮の行動が期待できます。教育やインセンティブを通じて、従業員が積極的に参加できる環境を整えることが重要です。

職場ではエコフレンドリーな備品を積極的に活用することで、環境配慮に関心を持ってもらいます。ゴミ分別のやり方も事前に教育することで、リサイクル効率につながります。

環境に配慮して作られた製品やサービスを証明するエコラベリングの種類3つ

エコラベリングは、環境に配慮された商品やサービスにマークやラベルを付与する制度です。消費者はラベルを参考にして環境配慮への取り組みを確認できます。

参照:環境省「環境ラベル等データベース」

エコマーク

項目内容
名前エコマーク
概要商品のライフサイクル全体を考慮
環境保全に寄与する商品を認定・表示する制度
管理団体公益財団法人日本環境協会
運営開始年1989年
URLhttps://www.ecomark.jp/

エコマークは、環境保全に役立つ商品を第三者が認証する制度です。日本で唯一のタイプI環境ラベル※6であり、ISO14024規格に基づいて管理されています。

制度は公益財団法人日本環境協会のもとで運営され、認定基準は商品ごとに設定されます。エコマークは消費者が環境に優しい商品を選択する際の指標になります。また、企業は持続可能な商品を生産していることを消費者に伝えることができます。

※6 タイプI環境ラベルの他にも、ISO(国際標準化機構)の規格に基づいたタイプII、タイプIII環境ラベルがあります。
参照:環境省「ISOの環境ラベルに関する規格」

エネルギースター

項目内容
名前エネルギースター
概要オフィス機器の消費電力に関する基準
管理団体経済産業省
運営開始年1995年
URLhttp://www.enecho.meti.go.jp/

エネルギースターは、オフィス機器の消費電力削減を目的とした国際的な認証プログラムです。日本、米国、カナダ、スイス、台湾の5か国・地域が協力して運営しています。

オフィス機器の稼働時やスリープ・オフ時の消費電力に関する基準が設定されており、製造・販売事業者は基準を満たす商品を登録し、エネルギースターのマークを取得します。制度の普及を通じて、エネルギー効率の高い製品の生産促進を図ります。

FPC認証

項目内容
名前FPC認証
概要森林管理と生産品質を評価し、基準を満たす素材・製品を認証
管理団体森林保護評議会(Forest Protection Council, FPC)
運営開始年1994年
URLhttps://www.forestprotection.net/ja/

FPC認証は持続可能な森林管理を促進するための制度です。森林保護評議会(FPC)が設定した基準に基づき認証が行われます。基準は各地域の状況に応じて作成され、持続可能な収穫、再生、生物多様性の保護、森林労働者の社会保障などの項目が総合的に評価されます。

FPC認証は、特に木材を扱う企業やビジネスに活用される制度です。建築業、家具メーカー、製紙会社などが積極的にFPC認証素材を活用することで、企業は環境配慮を示すことができます。

まとめ

企業は環境配慮にしっかりと取り組むことで、地球温暖化や資源枯渇といった課題解決に貢献することができます。消費者だけでなく、幅広いステークホルダーからの支持や共感にも期待でき、企業自体のブランディングを強化することにもつながります。

以上、環境配慮の概念、企業が取り組む環境配慮の実践方法、環境配慮を証明するエコラベリングについて解説させていただきました。本記事が「環境配慮」への理解を深めるうえで、お役に立てれば幸いです。

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