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環境評価を実施するための重要な基準「CCB Standard」についてわかりやすく解説!

基礎知識

CCB Standardとは、環境プロジェクトの質の評価・認証基準のこと

CCBとはそれぞれ「Climate(気候)」「Community(地域社会)」「Biodiversity(生物多様性)」の頭文字をとったものです。企業や組織が持続可能な環境プロジェクトを推進する際に、この3つの側面に良い影響があるかどうかを評価するための国際的な「Standard(基準)」になります。

CCB Standardを運営しているのは企業及び NGO からなる組織で「CCBA」と呼ばれます。地球 温暖化の軽減、環境保護、貧困の緩和を同時に実現していくための適切なプロジェクトの開発・実施を促進するための組織です。なおCCB Standardは、2014年からは非営利組織「Verra」によって管理されています。

CCB Standardが掲げる主な目的は次のようになります。

□ 気候変動への取り組み、地域社会、生物多様性の保全を同時に行うプロジェクトを評価する
プロジェクトの設計と実施における卓越性と革新性を促進する
□ 投資家のリスクを軽減し買い手を相殺し、プロジェクト開発者の資金調達の機会を増やす

CCB Standardの3つの側面

CCB Standardにとって重要な以下の3つの側面について、どのような評価基準となっているか詳しく解説していきましょう。

□ 気候
□ 地域社会
□ 生物多様性

まず3つの側面以外に、以下の共通検証基準が存在します。

共通部門
1.プロジェクト実施場所の状況必須
2.見積もりのベースライン必須
3.プロジェクトの設計及び達成目標必須
4.管理能力必須
5.土地保有必須必須
6.法律上の扱い必須
7.持続可能性への滝王管理1ポイント
8.知識普及1ポイント

気候

気候変動へのプロジェクトを実施した際に温暖化や気候変動にどれだけの効果があるかを評価します。評価するための項目は以下のようになります。

気候変動プロジェクト
必須項目コンセプト
1実質的にプラスとなる気候変動防止効果プロジェクト実施期間中は、対象エリアに実質プラスの気候変動防止効果をもたらせなければならない
2対象エリア外での気候変動関連の影響プロジェクトの対象エリア外において排出される温室効果ガスを定量化し削減対策を講じる
3気候変動影響へのモニタリングプロジェクトのモニタリング方法について初期計画を用意し、方法や継続頻度等を明らかにする必要がある

オプションポイント:それぞれ1ポイント加算
・気候変化及び気候変動への適用
・規制されている市場で公表されない炭素便益

地域社会

地域の人にどれだけの利益をもたらしているか、または不利益をもたらしていないかを評価します。

地域社会プロジェクト
必須項目コンセプト
1実質的にプラスとなる地域社会への効果プロジェクト実施期間中は地域社会・経済に対して実質プラスの効果をもたらし、かつコストと利益は関係者で公平に分配する
2対象エリア外のステークホルダーへの影響プロジェクトによる対象エリア外のステークホルダーに及ぼされる影響を評価し、社会的、経済的な利益低下を軽減する対策を講じる
3地域社会への影響のモニタリングプロジェクトのモニタリング方法について初期計画を用意し、方法や継続頻度等を明らかにする必要がある

オプションポイント:それぞれ1ポイント加算
・能力開発
・地域社会の向上のための最良の実施事項

生物多様性

プロジェクト実施の際に生物多様性における影響がどれくらいかを評価します。

生物多様性プロジェクト
必須項目コンセプト
1実質的にプラスとなる生物多様性への効果プロジェクト実施期間中はプロジェクトゾーン内の生物多様性に対して実質プラスの効果をもたらし、さらに侵入種の増加、遺伝子組み換え生物等を使用してはならない
2対象エリア外の生物多様性への影響プロジェクト実施に起因してプロジェクトゾーン外のエリアに及ぼす悪影響を評価し、軽減策を講じる
3生物多様性への影響のモニタリングプロジェクトのモニタリング方法について初期計画を用意し、方法や継続頻度等を明らかにする必要がある

オプションポイント:それぞれ1ポイント加算
・在来種の使用
・水及び土壌資源の向上

CCB Standardの検証および検証レベルについて

検証および検証レベルは以下のようになります。

評価基準検証レベル
承認15の必須条件を全て満たすプロジェクト
金(GOLD)すべての条件を満たし、4分野の中からそれぞれ最低1ポイントを獲得し、合計6ポイント以上を得たプロジェクト分野の中からそれぞれ最低 1 ポイントを獲得。さらに合計 6 ポイント以上を得たプロジェクト
銀(SILVER)すべての条件を満たし、4分野(総合 気候 地域社会 生物多様性)のうち3つの分野から少なくとも1ポイントを得たプロジェクト

参照:環境省「VER(Verified Emission Reduction)認証機関・方法の概要」

義務ではないCCB Standardを企業が取り入れるべき理由5つ

CCB Standardに従い、脱炭素や環境プロジェクトを進めることは決して義務ではありません。しかし、企業にとってCCB Standardに沿ってプロジェクトを実施することは、多くのメリットが存在します。

以下にその理由を5つご紹介していきます。

理由①消費者からの信頼を獲得しやすくなるから

CCB Standardは、国際的で透明度の高い信頼のおける基準です。そのため、プロジェクトにCCB Standardを取り入れることは、消費者からの信頼感を向上させます。CCB Standardに沿ったプロジェクトはSDGs達成にも寄与するため、社会的な評価を高めることにも役立つでしょう。

理由②より具体的かつ効果的に持続可能な取り組みを進められるから

環境問題の緊急性が高まるなか、企業にはより具体的で持続可能な取り組みが求められています。CCB Standardは、環境および社会的責任への取り組みを実証するための実質的かつ確実なフレームワークです。承認を得るためには、プロジェクトは全 15 の必須基準を満たさなくてはなりません。優秀なプロジェクトは得点によりゴールド、シルバーの評価が与えられる。得られ、社会的信頼度の高い効果的な取り組みを行うことが可能です。

理由③資金調達がしやすくなる可能性があるから

CCB Standardは、プロジェクトが気候変動や地域社会、生物多様性に具体的な利益をもたらすことを国際的に保証するものです。多面的なアプローチにより、ビジネスの持続可能性の認証が強化されるため、ESG投資家にとっては、有益な投資対象となります。そのためプロジェクト実施者は、ESG投資家より資金調達がしやすくなるというメリットが生まれるでしょう。

理由④取り組みを外部に示すために有効だから

プロジェクトがCCB Standardに適合していることを第三者機関が検証し認証を行います。検証は最低5年に一度実施され、プロジェクトが取得した認証についてはCCBAの公式サイトにて公開されるため、外部に向けた取り組みを効果的に示すことが可能です。

理由⑤カーボン・オフセットにおけるCCB Standardの重要性

初めに解説した通り、地球環境問題の中でも地球温暖化による気候変動問題は重要な位置にあります。温室効果ガスによる温暖化を抑制するためには、あらゆる事業において脱炭素化を推し進めなくてはなりません。

ガスを埋め合わせるための脱炭素活動のひとつであるカーボン・オフセットプロジェクトは、脱炭素化推進活動の中でも企業が実施しやすく確実な方法です。今後は日本でもGX政策による排出権取引の促進などが予定されています。そのため、カーボン・オフセット取引を実際に行う場合は、CCB Standardに沿った活動を行うことが求められる可能性があります。

企業がCCB Standardを利用する流れ

ここからは企業が実際にCCB Standardを利用する流れを解説していきます。

STEP1:持続可能なプロジェクトを計画する

CCB Standardの様式に基づいて、プロジェクト計画書を 作成します。

STEP2:CCB Standardを理解しプロジェクトに適用する

持続可能なプロジェクトを達成し、CCB Standardの認証を受けるためには、規則と要件をしっかりと理解し、プロジェクトに適用できるようにしましょう。

STEP3:プロジェクトを結果や効果を記録しながら実施する

プロジェクト実施者は計画に従ってモニタリングを行い、プロジェクトの結果や記録を行います。

STEP4:認証機関に申請し評価を受ける

プロジェクト計画書に基づきCCB Standardの対象プロジェクトとして適格かどうかを第三者検証機関に申請し、評価・判断が行われます。

STEP5:評価を受けてプロジェクトの計画や実施方法を改善する

審査が行われると同時にCCBAのHPでも公開され、パブリックコメントが実施されます。寄せられたコメントは公開され、審査プロセスにも取り込まれます。基準を満たすのに不足な点や不明瞭な点が指摘されるため、それにしっかりと対応し、CCB Standardの基準に沿った改善を行わなくてはいけません。

日本企業の事例集

ここからは実際にCCB Standardの活用や認証を受けた日本の企業事例をご紹介します。

ANAグループ

ANAグループは、環境保護、地球温暖化の防止の観点から、CO2削減対策として「ANAカーボン・オフセットプログラム」を提供。インドネシアやペルーにおける森林保全プロジェクトをCCB Standardの同時取得を行っているクレジット、及び持続可能な発展への貢献を重視するゴールド・スタンダード認証を受けたクレジットにて選定し実施しています。

参照:ANA 地球温暖化対策プロジェクト

トヨタ自動車

2010年にトヨタ自動車とコンサベーション・インターナショナルは、フィリピン・ルソン島で行っている森林再生プロジェクトが、CCB Standardのゴールド認証を取得したと報告しています。森林が伐採された後、放牧などによって荒れてしまった土地の森林再生と、森林再生活動を続けるための資金や、地域のメカニズム構築が持続可能な社会構築に貢献したと評価されました。

参照:トヨタ自動車 ニュースルーム

日置電機

長野県に本社を置く、日置電機は持続可能な社会の実現に向けて、2022年2月に「サステナビリティ基本方針」とCO2排出の目標となる「HIOKI サステナビリティ宣言」を策定。サプライチェーン排出量のスコープ1における温室効果ガスを削減するために、CCB認証を得たCNGに切り替えました。これにより国内のスコープ1における温室効果ガスのCO2排出削減を実施しています。

参照:日置電機「持続可能な社会へ向けて、VCS認証及びCCB認証のカーボンニュートラルガスを導入」

まとめ

今後企業が環境負プロジェクトに取り組むために重要な基準CCB Standardについてわかりやすく解説しました。企業が取り組むべきプロジェクトはさまざまですが、すべてにおいてCCB Standardの基準に沿った取り組みを行うことは持続可能な社会を構築するために重要と言えます。

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