【熱中症対策】2024年4月1日より「改正気候変動適応法・規則」が施行されます

法改正やルール

近年、熱中症による死亡者数は年間1,000人を超えることもあります。
熱中症対策については政府で「熱中症警戒アラート」などによる啓発等を実施してきましたが、未だに国民に十分に浸透していない状況が続いています。
そこで、更なる熱中症対策強化のため、政府は気候変動適応法を改正し、2024年4月1日から施行されることになりました。

「気候変動適応法」の主な改正内容

熱中症警戒アラートの基準を引き下げ、熱中症特別警戒アラートが新設

改正前・熱中症警戒アラート(発表基準35)
改正後・熱中症警戒アラート(発表基準33)
・熱中症特別警戒アラート新設(発表基準35)

改正前は、暑さ指数が35に達すると熱中症警戒アラートが発表されていましたが、より深刻な健康被害が発生し得る可能性に備え、熱中症警戒アラートが発表される暑さ指数を33に引き下げ、一段階上の「熱中症特別警戒アラート(暑さ指数35)」が新設されました。

暑さ指数(WBGT)注意事項
31以上高齢者においては安静状態でも発生する危険性が大きい。
外出はなるべく避け、涼しい室内に移動する。
28以上31未満外出時は炎天下を避け、室内では室温の上昇に注意する。
25以上28未満運動や激しい作業をする際は定期的に充分に休息を取り入れる。
25未満一般に危険性は少ないが激しい運動や重労働時には発生する危険性がある。

出典:環境省「熱中症予防サイト」

暑さ指数が28を超えると、熱中症にかかりやすくなります。
特に31以上は危険であり、「高齢者においては安静状態でも発生する危険性が大きい。外出はなるべく避け、涼しい室内に移動する。」とされているため、それを超える暑さ指数35で熱中症特別警戒アラートが発表された際には、重大な健康被害に注意しなければいけません。

暑さ指数(WBGT)とは

熱中症を予防することを目的として、「気温」「湿度」「輻射熱(ふくしゃねつ)」を取り入れた温度の指標です。具体的には気温1割:湿度7割:輻射熱2割としています。

また、WBGTはWet Bulb Globe Temperature(湿球黒球温度)の略称で、黒球温度、湿球温度、乾球温度をもとに以下の計算式で算出されます。

【屋外での算出式】
WBGT =0.7 × 湿球温度 + 0.2 × 黒球温度 + 0.1 × 乾球温度

【屋内での算出式】
WBGT =0.7 × 湿球温度 + 0.3 × 黒球温度

  • 黒球温度…黒色に塗装された薄い銅板の球(中は空洞、直径約15cm)の中心に温度計を入れて観測した温度のこと
  • 湿球温度…水に湿らせた布で温度計の計測部を包み、観測した温度のこと
  • 乾球温度…通常の温度計で気温を観測した温度のこと

熱中症特別警戒アラートは「都道府県単位」で発表

改正前の熱中症警戒アラートは「府県予報区」等の単位で発表されていましたが、熱中症特別警戒アラートの発表については、都道府県単位になります。
しかし、引き続き発表基準については検討が行われるため、今後も情報をチェックしておきましょう。

熱中症の危険度を表す推奨色が設定

防災の情報発信において、警戒レベルに使用される色は様々な視覚の人でも認識しやすい5色で表されます。皆さんも必ずテレビなどで目にしたことがありますよね。
しかし、これまで熱中症の危険度についての使用色は統一されていませんでした。そこで今回、政府は色の熱中症の危険度を表す推奨色を設定しました。

出典:熱中症対策推進検討会(R6.1.18)

クーリングシェルターが創設

改正後は、市町村長が、冷房設備を有する等の要件を満たす施設(公民館、図書館、ショッピングセンター等)を指定暑熱避難施設(クーリングシェルター)として指定でき、熱中症特別警戒情報が発表された際には、避難施設として開放されます。
クーリングシェルターとして指定された施設には、今後以下のマークやロゴが定められますので、周辺の施設について確認しておきましょう。

出典:改正気候変動適応法の法施行について 熱中症対策推進検討会

まとめ

熱中症対策の更なる強化と浸透のため、「気候変動適応法」が改正されました。今年も猛暑が予想されております。昨年はゴルフ場の休業要請などもでており、屋外施設の運営をしている企業にとっては、ビジネス面での影響が非常に大きいです。事前に最大限の対策ができるよう準備が必要ですね。また大手通販サイト等で、WBGT測定器も数千円から販売されておりますので確認してみてください。

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