エコフレンドリーとは?企業が取り組むメリットと事例を解説

基礎知識

企業がエコフレンドリーな商品・サービスを提供することは、環境負荷を低減させるだけでなく、ブランディングや信頼性の向上にもつながります。

本記事ではエコフレンドリーの概要、企業が取り組むメリット、実際の事例をわかりやすく解説します。

エコフレンドリーとは

エコフレンドリー(Eco-Friendly)は、「ecology(生態・環境)」と「friendly(友好的・やさしい)」を組み合わせた造語です。
「環境に優しい」、または「環境負荷が少ないこと」を意味します。

エコフレンドリーが注目される背景

●環境問題の深刻化
●個人の環境意識と行動の変化
●企業への規制強化と対応

近年、地球温暖化や環境破壊が深刻化する中で、持続可能な社会を実現するためにエコフレンドリーな取り組みが注目されています。個人レベルでの環境意識も高まっており、日常生活や消費行動でエコフレンドリーを重視するようになりました。

また、企業は消費者の環境意識の高まりに対応すべく、商品のライフサイクル全般にわたってエコフレンドリーな取り組みを進めています。エコ商品の開発や再生可能エネルギーの活用、リサイクルなどがその一例です。

行政による規制強化もエコフレンドリーに注目が集まる要因です。企業はビジネスを持続させるために、環境規制に対応する必要があります。

エコフレンドリー認証

地域主要なエコマーク
アジア日本:エコマーク(青)、その他東アジア:緑色の環境ラベル
ヨーロッパEUエコラベル、ドイツ:ブルーエンジェル
北米米国:グリーン・シール
オセアニアオーストラリアのエネルギー評価ラベル

「エコフレンドリー」という言葉は、企業のブランディングや信頼性向上を図るうえで効果的です。一方で、エコフレンドリーはマーケティングで誇大表示されることもあります。そのため多くの国々では、エコフレンドリー商品を認証する「エコマーク」の付与が行われています。

また、国際標準化機構(ISO)はエコマークの世界的なスタンダードと信頼性を高めるため、ISO14020やISO14024などの規格を制定しています。

参照:環境省「消費者意識とエコフレンドリー製品」
参照:環境省「ISOの環境ラベル*に関する規格」
参照:公益財団法人 日本環境協会エコマーク事務局
参照:EU Ecolabel – Home – Environment – European Union
参照:Blue Angel | The German Ecolabel
参照:Green Seal: Get Certified or Find Certified Products & Services
参照:GECA: Sustainability & Environmental Certification Program

エコフレンドリーな取り組みの例

取り組み期待できる効果
エコバッグ使用廃プラスチック削減
食品ロス削減資源効率向上、廃棄物減少
徒歩や自転車での移動温室効果ガス排出削減、健康増進
省エネ商品の選択、節電エネルギー消費低減、電気代削減
ゴミの分別とリサイクルリソースの再利用、廃棄物処理コストの軽減
マイボトルの使用プラスチック/アルミ/鉄の削減

個人の日常生活の中でも、省エネ商品の使用やリサイクルなどを通じてエコフレンドリーに貢献できます。

エコバックやマイボトルの活用は、節約を進めるうえでも効果的です。また、移動手段に徒歩や自転車を選択(エコムーブ)することは、健康なライフを実現させるうえでもメリットがあります。

参照:環境省「【SDGsライフのヒント】スマートムーブ」

企業ができるエコフレンドリーな取り組みの例5つ

ここでは企業ができるエコフレンドリーな取り組みを5つ挙げて解説します。

エコフレンドリーな商品を開発・生産する

従来の大量生産・大量消費型のビジネスモデルは、温室効果ガスの増加、資源の枯渇、廃棄物の増加などの問題を生じさせています。持続可能な社会を実現するためには、エコフレンドリーな商品開発や生産に取り組むことが重要です。

エコフレンドリーな商品として、省エネ家電やエネルギー効率の高い自動車などが挙げられます。たとえば、LED照明は従来の白熱電球に比べて消費電力が約85%削減できます。また、寿命も40倍以上です。エネルギー効率の高い冷蔵庫やエアコンも、節電効果が得られることから、多くの消費者に支持されています。

ハイブリッドカーや電気自動車(EV)も代表的なエコフレンドリー商品です。特にEVは化石燃料を使用せず、走行時に排気ガスが出ないため、都市部での大気汚染軽減に貢献します。

参照:環境省「まず知ってみよう! エコ照明の基礎知識」

包装や使い捨てを少なくする

過剰包装は廃棄物の増加だけでなく、製造や輸送コストの浪費をひきおこします。まずは商品の形状に合わせた最小限の包装デザインを採用することが大切です。シンプルで効率的な包装デザインは輸送効率の向上やゴミの削減につながります。

包装に関しては、消費者からの協力も不可欠です。エコバックやリターナルボトルへの理解を深めてもらうことで、過剰な包装を避けることができます。リフィルステーションや量り売りの導入も効果的です。

環境に優しい素材を使う

サステナブルな素材として注目されるのが、リサイクル素材やバイオプラスチック、FSC※1認証木材などです。バイオプラスチックは、石油由来のプラスチックに比べて環境への負担が少なく、自然に分解される特性があります。FSC認証木材は、持続可能な管理を保証された森林から調達される木材です。

企業はサプライチェーン全体でエコフレンドリー素材の利用を進めていくことが大切です。サプライヤーに対しても同じ高いエコ基準を適用することで、製造から販売、廃棄までのライフサイクル全体で環境負荷を削減することができます。

※1 FSC(Forest Stewardship Council:森林管理協議会)
参照:認証の種類 | Forest Stewardship Council – FSCジャパン

事業の運営の際に3Rを心がける

項目概要
リデュース
(Reduce)
廃棄物発生を最小限に抑える
商品設計段階から無駄を省き、資源効率を高める
リユース
(Reuse)
使い捨て文化から脱却
容器や部品の再利用や中古品市場の活用
商品ライフサイクル延長
リサイクル
(Recycle)
資源を新商品に変換
素材のリサイクルや分別設計

事業をエコフレンドリーにするため、企業は事業運営の際に3R(リデュース、リユース、リサイクル)を意識した取り組みが重要になります。

リデュース(Reduce)は商品開発から製造、流通や販売にいたるプロセスで資源の削減を目指します。リユース(Reuse)は商品の再利用に焦点を当て、廃棄物の削減と消費者コストの低減を図る取り組みです。使い捨て文化からの脱却を進めます。リサイクル(Recycle)は素材の再活用です。資源を効率的に活用し、持続可能な生産を実現します。

参照:環境省「3R徹底宣言!」

事業における移動や輸送を工夫する

輸送効率を高めることはエコフレンドリー対策につながります。配送ルートを効率化することで無駄な走行を減らし、燃料消費とCO2排出を減らすことができます。ハイブリッド車や電気自動車の導入も有効です。一般的な車両に比べてエネルギー使用を大幅に削減できます。

リモートワークの推進も人と物の移動を減らすことに貢献します。新型コロナ対策として、リモートワークは多くの企業で導入されましたが、エコフレンドリーの観点からもメリットが期待できます。

企業がエコフレンドリーな取り組みを行うメリット4つ

●環境負荷を減らせる
●企業の社会的責任を果たすことにもつながる
●競合との差別化を図れる
●企業のイメージ向上につながる

企業がエコフレンドリーに取り組むことで得られるメリットを4つにまとめて解説します。

環境負荷を減らせる

フェーズ取り組み期待できる効果
原材料調達エコフレンドリー素材の活用
地域社会への影響の考慮
地域社会との共生
自然生態系の維持
製造工程節電
化学物質の使用抑制
廃棄物削減
CO2排出量削減
環境汚染防止
流通・販売過剰包装の削減
ハイブリッド車・EV活用
資源消費の最小化
CO2排出量削減
使用・消費メンテナンス・修理サービスの拡充
リサイクル・リユース
商品廃棄の減少
廃棄分別の簡易化
バイオマス化・マテリアルリサイクル
廃棄物発生量の最小化
資源の循環利用

エコフレンドリー商品は、原材料調達から製造、流通、使用、そして廃棄にいたる全フェーズで環境負担を低減させます。3Rを進めることで、持続可能な生産と消費を実現し、地域社会や生態系への影響も最小限に抑えることが可能です。

企業の社会的責任を果たすことにもつながる

企業の社会的責任はCSR※2として近年ますます注目が集まっています。企業は経済的な利益追求だけでなく、社会や環境に対する責任を果たしていく必要があります。そして、CSRに取り組む方法の一つが、エコフレンドリー商品の開発・販売です。

エコフレンドリー商品の開発・販売は企業の社会的責任を果たすだけでなく、投資家からの評価や法規制への対応にもつながります。

※2 Corporate Social Responsibility

競合との差別化を図れる

環境に配慮した商品・サービスを提供する企業は、環境対策に取り組んでいない企業との差別化を図ることが可能です。また、環境意識の高い消費者のロイヤリティ向上にもつながります。

差別化を進めるにはプロモーション戦略も大切です。エコフレンドリーの取り組みをしっかりと公式サイトやブログ、SNSなどで配信することで、企業ブランディングを効果的に進めることができます。

企業のイメージ向上につながる

再生可能エネルギーの活用や持続可能な素材の採用、透明性のあるサプライチェーンの確立は、企業のイメージ向上につながります。

ただし、エコフレンドリーな活動では、実際の成果を出すことが重要です。インターネットやSNSの普及で、消費者は企業情報に簡単にアクセスできます。いわゆるグリーンウォッシング※3は企業の信頼を損なう原因となります。エコマーク導入や第三者機関によるレポートなどを活用し、エコフレンドリー活動を客観的に評価してもらうことも大切です。

※3 グリーンウォッシュは見せかけの環境対策を意味します。
参照:JETRO「EU、グリーンウォッシング禁止法を採択、根拠ない「環境に優しい」など表示禁止」

まとめ

以上、エコフレンドリーの概要、企業が取り組むメリットを解説させていただきました。企業の積極的なエコフレンドリー対策は、環境負荷の低減を図るだけでなく、ブランドのイメージアップや信頼性向上にもつながります。商品の材料調達や流通、破棄に渡るまで、エコフレンドリーを追求していくことが大切です。

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