調整後温室効果ガス排出量を調整する方法の一部を改正について解説

法改正やルール

令和6年1月11日に、調整後温室効果ガス排出量を調整する方法の一部を改正する件が公示され、同年の4月1日より適用されることになりました。
(※排出量の管理・調整・報告が必要な温室効果ガスのことを調整対象温室効果ガスと言い、二酸化炭素・メタン・一酸化炭素・フルオロカーボンなどがこれに含まれます)

これは、企業などが実施している排出量削減などの取り組みの成果をより正確に算定・報告・公表できるようにすることが目的の改正です。

令和6年度以降の報告分(5年度実績分)から適用されますので、特定排出者の方や算定を行っている事業者の方は、改正による変更点について押さえておきましょう。
【環境省】調整後温室効果ガス排出量を調整する方法の一部を改正

今回の改正での主な変更点は3つです。それぞれの概要を紹介します。

廃棄物燃料からのCO2排出の取り扱いが変わります

廃棄物や廃棄物燃料を燃やすことで発生するCO2は、「エネルギー起源CO2」として扱われます。調整対象温室効果ガス排出量のうち、このエネルギー使用によるCO2の排出量から廃棄物や廃棄物燃料を燃やすことで発生するCO2については控除できることになりました。つまり、廃棄物や廃棄物燃料を燃やして発生するCO2は通常のエネルギー使用によるCO2とは別々に計算するということです。

令第七条第一項第一号イ(2)の環境省令・経済産業省令で定める燃料ごとに、同号イ(2)に定めるところにより算定される量から、特定排出者の事業活動に伴う温室効果ガスの排出量の算定に関する省令、別表第1-29項から35項までの第二欄に掲げる燃焼の使用に伴うものを控除して得た量

ガス事業者と熱供給事業者も公表の対象となります

今後は、ガス事業者や熱供給事業者も、電気事業者と同様にCO2排出に関する調整後排出係数を公表する必要があります。都市ガスや熱の使用によるCO2排出量の計算には、事業者別の調整後排出係数が使用されます。

(ハ)算定排出量算定期間において事業活動に伴い使用された他人からの供給された都市ガスの量に、報告命令第20条2第2項に規定する調整後排出量係数のうち、当該都市ガスを供給するガス事業者のものを乗じて得られる量

(ニ)算定省令第2条第6項第1号に掲げる熱の量に、同号に定める係数を乗じて得られる量

非化石電気・熱のCO2削減量が控除されます

特定排出者が購入した国内認証排出削減相当量(非化石燃油由来のグリーンエネルギーによるCO2削減量のこと)については、他人から供給された電気や熱の使用によるCO2排出量を上限に控除できるようになります。つまり、企業などが非化石由来のエネルギー(再生可能エネルギーなど)を使用した場合、そのエネルギーによって削減されたと認定できるCO2削減量を、電気や熱の使用によって発生したCO2の合計量から差し引くことができるのです。削減可能なCO2の合計量は、非化石由来のエネルギーを使用した際に発生したCO2の量を上限とします。
ただし、適用日以前に認証されたグリーンエネルギー二酸化炭素削減相当量はいままで通り使用可能です。

第2条1項の規定による調整後温室効果ガス排出量の調整における同号第1号から第3号までに掲げる量の控除について、国内認証排出削減量のうち、グリーンエネルギー二酸化炭素削減相当量認証制度(国内における他の者の二酸化炭素の排出の抑制に寄与する取組(再生可能エネルギー源(永続的に利用することができると認められるエネルギー源をいう。)を活用するものに限る。)により、削減がされた二酸化炭素の量の算定等に関し、十分な知見を有する者により構成される会議体であって、環境省及び経済産業省が運営するものが、二酸化炭素の量について、実際に行われたことが認められる当該取り組みにより削減がされ、適切な方法により算定され、当該取組がなければ削減がされなかったものとして認証をし、その取組、保有及び移転を適切に管理する制度をいう。以下この項において同じ。)において認証をされた二酸化炭素の量(非化石電気の使用により削減された二酸化炭素の量に限る。)及び非化石証書にかかる非化石電源二酸化炭素削減相当量の合計は、第2第2項第1号(ロ)に定める量を上限とし、国内認証排出削減量のうち、グリーンエネルギー二酸化炭素削減相当量認証制度において認証をされた二酸化炭素の量(非化石熱の使用により削減がされた二酸化炭素の量に限る。)は、同号ニに定める量を上限とする。

またこの度、「調整後温室効果ガス排出量を調整する方法」の改正と同時に「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度」も改正されています。適用前に、併せて確認しておきましょう。

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