2025年4月原則全ての住宅・非住宅は省エネ基準適合が義務化
令和4年6月17日に、「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」等の一部を改正する法律が公布され、2025年の4月1日より、原則すべての住宅・非住宅の省エネ基準適合が義務化されることになりました。
建築物分野におけるエネルギー消費量が著しく増加していることを受け、建築分野においても省エネルギーを徹底し再生可能エネルギーの利用拡大を図るためです。
改正の施行日以降に住宅や建築物の建築(増築や改築を含む)工事の着手を予定している方は、改正による変更点や対象施設について押さえておきましょう。
脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律▼
規定 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/r4kaisei_shoenehou_kijunhou.html
概要 https://shoenehou-online.jp/doc/1_R4_shoenehou.pdf
目的は、住宅全体の省エネ性能の底上げ
改正は、規模にかかわらず住宅全体の省エネ性能を底上げすることが目的です。これまでは、床面積300㎡以上の中規模住宅と床面積2,000㎡以上の大規模住宅にのみ届出義務があり、床面積300㎡未満の小規模住宅に関しては、建築士が建築主に省エネ基準適合に誘導するよう説明義務を有していただけでした。しかし、2025年の4月1日からは、小規模住宅も中規模住宅も大規模住宅も、一律で省エネ基準に適合することが義務化されます。
対象は、除外される建築物を除いたすべての建築物
改正で、原則全ての住宅・非住宅が省エネ基準適合の対象となりますが、次のように対象から除外される建築物も一部あります
建築物が省エネ基準に適合しているかの判断方法
建築物が省エネ基準に適合しているかは、建築確認の中で、構造安全規制等の適合性審査と一体的に実施される予定です。中小工務店や審査側の体制整備の準備期間を確保し、2025年度から施行されます。
適合が義務付けられる「省エネ基準」には、次のようなものがあります。
つまり、建築時には一定性能以上の空調・照明・給湯等の設備を用いてエネルギーの消費量を基準値よりも少なくなるように施行されているか(太陽光などの発電設備を導入すれば、その創出エネルギー分を差し引くことが可能)、壁や屋根、窓には一定の断熱材や窓等を用いて熱損失量を基準値よりも少なくなるように施行されているかについて判断されるのです。
「省エネ基準」への適合
今回の改正で義務化されるのは、「省エネ基準」への適合ですが、2030年までにはさらに水準の高い「ZEH基準」への適合を目指す流れになると言われています。このように、今後ますます建築分野の省エネ化は欠かせなくなってくることが予想されます。
建築物に省エネ性能を備えることは、ひとえに義務化への対策としてだけでなく、減税措置が受けられたり、売買の際に不動産としての付加価値となったりとメリットも享受できるため、新築や増築・改築予定のある方は、省エネ基準はZEH基準を視野に入れながら建築計画を立てられることをおすすめします。