明治以降の近代化政策をきっかけとした日本の環境問題の歴史とその取り組みについて

法改正やルール

2023年09月、「第4回 生活者の環境危機意識調査*」の結果が発表されました。このレポートによると、日本と海外、計25か国の10-60代の男女13,500名が考える『自国内の環境問題で危機的だと思う項目』として、『気候変動』が一位に挙げられました。次いで、『社会、経済と環境、政策、施策』、『水資源』が挙げられており、数ある環境問題の中でも、とりわけ世界各地の異常気象や異常気温には大きな注目が集まっています。

また、日本でも環境問題をより重視すべきだとする考え方は深まり、温室効果ガス排出量をゼロにするという目標に立ち向かうため、国だけはなく事業者にも環境への配慮が求められる時代となりました。

本コンテンツでは昨今の環境問題についてのご理解を深めていただき、今後の自社の事業展開においてどのような環境配慮を行うべきかのヒントを見つけていただければ幸いです。

* 2023年6月9日-7月5日、公益財団法人旭硝子財団によりインターネットリサーチの方法で実施。(https://www.af-info.or.jp/ed_clock/jpsense_result.html

世界の環境問題とその取り組みについて

昨今の環境問題のきっかけは、18世紀後半に始まった産業革命にあると言われています。経済の発展に伴い、化石燃料の使用による大気汚染や有害物質を含む廃水による水質汚濁などの公害等が数多く発生するようになり、環境悪化の進行が明るみに出てきました。

そのような中、1972年の国連人間環境会議(ストックホルム)以降、持続可能な社会を描いた構想の実現に向けて、環境に対する意識が年々高まっています。2015年のSDGsおよびパリ協定の採択を機に、政府や国際機関だけでなく民間企業や地方自治体においても、積極的な環境対策が取り組まれるようになりました。

特に、世界的に見て、最も環境問題への対応が進んでいるのはEUです。1960年代以降、EUでは資源の効率化をはかり、早々に『循環型社会』に移行する動きがみられました。また、2015年には循環経済への移行を促進する『循環経済パッケージ』を採択しています。

一方、世界最大の経済大国であるアメリカの動向としては、2020年のバイデン大統領の当選以降、環境政策においては前向きな取り組みが実施されています。トランプ大統領によるパリ協定離脱は撤回され、『2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロに、2035年までに発電部門の温室効果ガス排出をゼロに移行すること、2030年までに洋上風力による再エネ生産量を倍増し、2030年までに国土と海洋の少なくとも30%を保全すること等』を目標に掲げている状況です。

その他、中国では、排ガス、排水、固体廃棄物のいわゆる『三廃』による汚染防止対策を中心に、環境対策が進められています。

日本の環境問題とその取り組みについて

1997年の京都議定書の締結以来、日本は温室効果ガスの削減に努めてきました。しかし、実質的な削減は、さほど進んでいないのが現状です。令和2年版の『環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書』によると、2018年の日本の温室効果ガスの総排出量は前年度より3.9%減少、2013年度と比べ12%、2005年度と比べ10%と減少傾向にあります。二酸化炭素に代表される温室効果ガスは減少傾向にありますが、まだまだ政府がめざす『温室効果ガスの排出をゼロ』にする目標の達成には程遠い状況になります。

この要因として、政治的な背景もあります。安倍政権下においては、長期的な環境対策の見通しや温室効果ガス削減の数値目標を明確に提示できない時期もあり、事業者側にそこまで強く環境対策が求められてはきませんでした。しかし、菅政権による温暖化問題への取り組みの転換を経て、現在では各事業者にしっかりと温室効果ガス削減の取り組みが求められています。

このように、欧米と比較すると事業者の温暖化対策への対応は遅れ気味でしたが、『2050年までに温室効果ガスをゼロにする』という数値目標達成のためには、家庭部門より遥かに多くの温室効果ガスを排出している事業者の努力が必要不可欠となります。照明器具のLED化、太陽光をはじめとする自然エネルギーの導入、冷暖房の温度設定の適正化、ペットボトルなどプラスチック製品から木材などへの素材転換など、一つ一つの環境対策の取り組みが今後の日本全体の環境変化に大きな影響を与えることになるでしょう。

環境問題の歴史

環境対策に取り組むにあたり、公害や健康被害といった過去の過ちを繰り返さないためにも、環境問題の歴史について留意する必要があります。

一般的に、日本の環境問題のきっかけとして、明治以降の近代化政策が挙げられます。第2次世界大戦後の工業復興期に環境問題は深刻化し、それにあわせて公害対策の法律や規制が整備されているのが現状です。国内の具体的な環境問題の歴史に関しては、以下の表をご参照ください。

西暦環境関連の出来事
1891年足尾銅山鉱毒問題の国会提起
1932年大阪府が煤煙防止規則を制定(日本初の発令)
1949年東京都が工場公害防止条例を制定
1955年イタイイタイ病(富山県)が社会問題化
東京都にばい煙防止条約が制定(戦後初)
1956年水俣病の発生を公式発表
1961年三重県四日市市で喘息患者が多発
1964年新潟県阿賀野川流域に水銀中毒患者を発見
厚生省に公害課が設立
1967年公害対策基本法の制定
1968年大気汚染防止法・騒音規制法の制定
1971年環境庁が設立
各省庁の公害行政を一本化する環境庁が発足し、自然・環境保全を全面的に扱う機関へ
1972年環境庁が初の『環境白書』を発行
自然環境保全法が公布
国連人間環境会議が開催(ストックホルム)
国連環境計画(UNEP)が設立
1980年ラムサール条約(水鳥の生息地である湿地に関する条約)とワシントン条約に日本が加盟
1990年国立公害研究所を国立環境研究所に改組
地球温暖化防止行動計画が決定
1997年地球温暖化防止京都会議(COP3)にて京都議定書が採択
2001年環境庁から環境省へ再編
2020年2050年までに脱炭素社会(カーボンニュートラル)を目指すことを宣言

『環境問題の歴史|環境再生保全機構』を元に作図
 

 まとめ

私たちが日々快適な生活を送るためには、電気やガス、水道、エネルギーなど様々な環境資源が多数活用されています。その結果、活発な経済活動により多くのモノが生み出され、その中には環境問題も含まれるのが現状です。

これからの私たちには、『経済合理性』だけはなく『環境合理性』もしっかりと考えて、企業活動を展開していくことが求められてくるのではないでしょうか。

本コンテンツ並びにCO2排出量の算定に関しご質問がございましたら、弊社までお問い合わせ下さい。

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