温対法の改正を踏まえて、自社がとりくむべきことを解説

基礎知識

2021年6月、温対法の改正法案が公布されました。本改正により、一定以上の規模を誇る企業においては、CO2排出量の算定・報告のデジタル化、また報告された情報のオープンデータ化が義務付けられました。
一方、この改正をうけて、早期より省エネに向けた取り組みと自社事業の「見える化」を行うことで、今後新たに成立が見込まれている各種関連法におけるメリットを、事業者が享受できる可能性があります。

そこで、本コンテンツでは温対法についてのご理解を深めていただき、自社が今後脱炭素経営をふまえどのような事業展開を目指すべきかの参考となれば幸いです。

1.温対法の概要と対象事業者/義務事項について

温対法(正式名称:地球温暖化対策の推進に関する法律)とは、1997年に開催された「気候変動枠組み条約第3回締約国会議(COP3)」での京都議定書の採択をきっかけに、1998年に制定された国、地方公共団体、事業者、国民が地球温暖化の対策に取り組むための枠組みを定めた、日本初の法制度です。

2021年3月の法改訂により、今後この改訂の影響をうけるであろう事業者とそれに伴い発生する義務事項に関しては、以下の通りです。

<対象の事業者>
全ての温室効果ガスが算定の対象となるため、多量に温室効果ガスを排出する事業者は、事業内容に関わらず温対法の対象事業者となります。

対象となるのは、
エネルギー起源CO2を排出する事業者とエネルギー起源CO2以外の温室効果ガス(非エネルギー起源CO2, CH4, N2O, HFC, PFC, SF6、NF3)を排出する事業者となります。

①エネルギー起源CO2を排出する事業者とは、燃料の燃焼や製造プロセスなどを通じて、二酸化炭素(CO2)を大気中に放出する企業や施設を指します。これには、電力会社、製造業、運輸業、建設業など多岐にわたる産業が含まれます。具体的には、化石燃料を燃やして発電する電力会社、自動車や飛行機を使う運輸業、製鉄やセメント製造のようなエネルギー集約型の製造プロセスを行う企業などがこれに該当します。

-【特定事業所排出者。全ての事業所のエネルギー使用量合計が1,500kl/年以上となる事業者】
-【特定輸送排出者。省エネ法で定められている特定貨物・旅客・航空輸送事業者、特定荷主等の事業者。】

②エネルギー起源CO2以外の温室効果ガスを排出する事業者とは、メタン、亜酸化窒素、フロン類など、二酸化炭素以外の温室効果ガスを排出する企業や組織を指します。いくつか例を挙げると農業、廃棄物処理、化学工業、冷凍・エアコン製造、石油・ガス産業などを行う事業者が対象になります。

-【特定事業所排出者。温室効果ガスの種類ごとに全ての事業所の排出量合計が3,000t以上(CO₂換算)かつ事業者全体で常時使用する従業員の数が21人以上の事業者。

(引用:https://ghg-santeikohyo.env.go.jp/abouthttps://www.pref.aichi.jp/uploaded/attachment/25685.pdf)

<義務事項>
事業者に課される義務は、主に以下の2点です。毎年これらの義務遂行が求められます。

  • 温室効果ガス排出量の『算定』
  • 温室効果ガス排出量の『報告』

※『削減』現状義務として課せられてはいません

2.今回の改正ポイント

今回の改正ポイントは、以下の3点です。

①基本理念の改正

「パリ協定」「2050年カーボンニュートラル宣言」を基本理念として位置づけ、地球温暖化対策に関する長期的な方向性を日本の法律上に明記しました。
そうなると国の政策の継続性・予見性が高まり、関連する補助金や融資を受けやすくなる可能性が高まります。

②再エネ活用事業の促進

地方創生を目指し、具体的な地域の再エネ活用事業の計画・認定制度を創設しました。
温対法が目標とするミッションの到達には、再生可能エネルギーの利用が必須であり、地域における円滑な再生可能エネルギーの利用促進が図られています。

③排出量情報をオープンデータ化

今回の改正により、事業者によるCO2排出量報告の原則デジタル化、並びに情報のオープンデータ化が義務化されました。

*温室効果ガス排出量の公表までの期間も約1年短くなり、企業活動に伴う排出量に対する評価も厳格化。間もなくカーボンプライシング(環境税・炭素税・排出権取引・クレジット等)関連の法律が制定される見込みもあります。

3.省エネ法との違いについて

ここでは、既存の省エネ法(正式名称:エネルギー使用の合理化に関する法律)と温対法の違いについて取り上げていきます。

主な違いは、以下の2点です。

対象


<省エネ法>
燃料・熱・電気が対象。再生可能エネルギーなどは含まれません。

 <温対法>
温室効果ガス全般が対象。「エネルギー起源CO2」と「エネルギー起源のCO2以外の温室効果ガス」の2つに大別されます。

罰則


<省エネ法>
罰則は複数あり、最大で100万円以下の罰金が求められます。

<温対法>
排出量の報告をしない、または虚偽の報告をした場合には20万円以下の過料という罰則が科せられます。

4.温対法の改正をふまえて企業がやっていくべきこと3つのSTEP

STEP①:現状のCO2排出量を調査し把握する

まずは事業を行うにあたり、自社がどのくらいのCO2を排出しているのか現状を把握してみましょう。
CO2排出量の計算方法は、原油換算によるもの、CO2換算によるもの、電気の使用に伴うエネルギー起源CO2排出量によるものなど様々です。

算定ツールのソフトを活用し、煩雑な計算を簡便化する手段もあります。

CO2排出量算定ツール「CARBONIX」:https://sustech-inc.co.jp/carbonix/

STEP②:CO2削減の取り組みを行う

CO2排出量を抑えられるよう、燃料や電気の使用量等の見直しをあらゆる角度から行い、CO2の削減に努めていきましょう。

世界的にも事業者によるCO2削減への取り組みが重要視されてきており、大手企業のサプライチェーン上にある企業は今後、自社がCO2排出量の報告義務の規模に満たない場合でも、CO2排出の算定を求められるようになる可能性があります。

STEP③:再生可能エネルギーを活用する

CO2排出量の見直しに加え、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーを活用することで、大幅なCO2の削減が実現する可能性があります。

まとめ

まずは、自社が温対法の対象事業者であるかの確認が必要です。

その上で、もし自社が対象の事業者である場合は、温室効果ガス排出量の『算定』・『報告』が義務づけられておりますので、早急な対応を検討しなければなりません。また、もし自社が対象の事業者ではない場合においても、長期的な脱炭素経営をふまえて、今から温室効果ガス排出量の『算定』、『削減』に向けた取り組みを行っておくことをおすすめいたします。

 

 

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