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【2024年版速報】 日本における発電の割合は?再エネ発電の現状とあわせて解説

基礎知識

2023年11月末、経済産業省は2022年度における国内の電源構成の速報値を発表しました。電源構成とは、電力を作るエネルギーの種類で分類した発電設備の割合を指しており、昨今では地球温暖化対策に向けて注目されている再生可能エネルギーの動向が注目されています。

最新版の発表によると、国内のエネルギー自給率自体は原発の稼働日数の減少により昨年度に比べて0.7ポイント減の12.6%となったものの、年間の発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合は21.7%となり、1.4ポイント増加する形となりました。

このように国内でも、「2050年までにカーボンニュートラルを実現する」という宣言に向けて、再生可能エネルギーの活用推進には注目が集まっていますが、実際のところ、これらの活動は電力のCO2排出原単位を下げることに結びついているのでしょうか。また、各再生可能エネルギーは、どのような形でこのエネルギーシフトの取り組みに関わってきているのでしょうか。

本コンテンツでは、国内外の最新のエネルギー事情に関するご理解を深めていただき、自社の脱炭素経営への舵切りにはどのような再エネを活用していけばよいのか、お考えいただくきっかけとなれば幸いです。

 

日本におけるエネルギー発電の現状について

2022年度の国内の発電電力の割合は、化石燃料による発電、いわゆる火力発電が70%以上を占めており、次いで太陽光(9.2%)、水力(7.6%)、原発(5.6%)、バイオマス(3.7%)、風力(0.9%)、地熱(0.3%)という順で構成されています。つまり、再生可能エネルギーは、原発を除く太陽光以下5つの電源で、約22%程度を占めている状況となります。

【発電電力量の推移】

(注)1971年度までは沖縄電力を除く。
© https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2023/html/2-1-4.html

出典:経済産業省 資源エネルギー庁「第4節 二次エネルギーの動向」
※2022年度における国内の電源構成の速報値を元に記載していますが、上記グラフのみ2021年度ものになります。

このように、国内の発電電力の割合としては、依然として火力発電(天然ガス33.7%、石炭30.8%、石油8.2%)に依存する体質は続いており、G7を始めとする周辺諸国と比べても、比較的再生可能エネルギーへの移行が遅れていることがおわかりいただけるかと思います。

©https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/pdf/069_03_00.pdf

©https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/pdf/069_03_00.pdf

 

電力のCO2排出原単位の動向について

資源エネルギー庁(経済産業省)の発表によると、エネルギー起源全体のCO2排出量(*1)は、前年度比2.9%減、2013年度比22.5%減となる9.6億tとなっており、1990年度以降で最少となっています。リーマンショック後の経済回復および東日本大震災後の原発稼働停止等の影響で、2013年度までの4年間、エネルギー起源のCO2排出量は連続して増加している状況でした。しかし、その後のエネルギー消費減、再エネ普及や原発再稼働により、昨今ではこのCO2排出量は減少傾向であることが、下図からもおわかりいただけるかと思います。特に、2022年度は、企業・事業所他のエネルギー消費減が影響して、2年ぶりにCO2排出量は減少しています。
一方、 電力のCO2原単位(使用端*2)においても、前年度比1.8%減となる0.46kg-CO2/kWhという結果があらわれています。火力発電の割合が少しずつ減少し、再生可能エネルギーが徐々に増加している状況が伺えます。

*1 燃料を燃焼することで発生するCO2排出量

*2 使用端:需要端から変電所内で消費された電力を引いた電力
@https://www.meti.go.jp/press/2023/11/20231129003/20231129003-1.pdf

各再生可能エネルギー発電の特徴と課題

ここからは、実際に各再生可能エネルギー発電は今どのような状況にあるのか、それぞれの特徴とあわせて確認していきます。

【太陽光発電】
特徴:再生可能エネルギーのなかで、一番高い割合を占めているのが太陽光発電となります。昨今では、売電価格の引き下げが進んでいる一方、パネルの設置費用や維持費も徐々に引き下げられている現状があります。そのため、FIT(固定価格買取制度)価格削減による投資意欲の減退や、設備に適した土地確保の問題、建設する地元との合意形成等諸々の課題を解決していくことができるかが、更なるシェアアップへの鍵となってきます。

太陽光発電
評価ポイント発電装置となる太陽光パネルを、一般住宅の屋根などにも設置することが可能である。
課題天候や発電可能時間帯に左右されやすい。
太陽光発電の売電価格が引き上げられる見込みがほぼなく、太陽光パネルの普及が頭打ちになりつつある。

 

【水力発電】
特徴:太陽光に続き、高い電源構成は占めているものの、大型水力発電(ダムなど巨大な発電装置を活用)は、既に開発の余地を残していない状況となっています。一方で、小水力発電(上下水道や農業用水、一般河川を活用)に関しては未開発の部分も多く、今後の普及による地域の活性化も期待されています。小水力発電は、環境負荷が少なく、比較的短時間で設備設置も可能とされています。

水力発電
評価ポイントエネルギー変換効率が高く、日本の気候や風土に適した発電方法となっている。
課題開発コストや運用コスト、水利権の調整が必要である。(小水力発電)

 

【風力発電】
特徴: 第6次エネルギー基本計画では、「再生可能エネルギー主力電源化の切り札」と言われているほど、高い期待を集めているエネルギー源となっています。
また、ドイツや英国をはじめとするヨーロッパ諸国では、風力発電の普及が進んでいます。

風力発電
評価ポイント昼夜を問わず運転することが可能となっており、発電効率が良い。
課題天候や風力に発電量が左右される。

 

【その他の再生可能エネルギー】
上記の他には、バイオマス発電と地熱発電があります。
この2つに関しては、今までにお伝えした再生可能エネルギーより、少しイメージがしにくい部分もあるかもしれません。
まず、バイオマス発電ですが、木くずや家畜の排泄物などを燃料にする発電方法となります。

バイオマス発電
評価ポイント産業廃棄物を再利用するため、環境改善および農林水産における「自然循環環境機能」の維持に役立つ。
課題広範囲からの資源収集にかかる運搬のコスト等を抑える。

第6次エネルギー基本計画では「各種政策を総動員して、持続可能性の確保を大前提に、バイオマス燃料の安定的な供給拡大、発電事業のコスト低減等を図っていく」とされています。

一方、地熱発電は、火山帯などの地下熱を利用した発電方法です。

地熱発電
評価ポイント日本は火山が多く、地熱資源量では世界第3位を誇っているため、風土に合った発電方法であり、安定的な供給が見込める。
課題開発にかかる時間とコストを抑える。

地熱発電に利用される土地は、公園や温泉などの施設と重なることも多く、地元関係者との調整が求められる。

 

まとめ

「第6次エネルギー基本計画」の策定に際し、「2030年度のエネルギーミックス」(火力発電を抑え、再生可能エネルギーの割合を大きく伸ばすこと)が目標とされました。野心的な見通し、とも言われているように、現行では20%代を占めている再生可能エネルギーの割合を、電源構成の36〜38%まで大幅に伸ばしていくことが求められています。

そのため、日本全体で再生可能エネルギー発電の割合を上昇させるためには、国の制度だけに頼らず事業者側も皆一丸となって、積極的にエネルギーシフトへ取り組むことが必要となってきます。

本コンテンツ並びにCO2排出量の算定に関しご質問がございましたら、弊社までお問い合わせ下さい。

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