再エネ推進の国際イニシアティブRE100とは|中小企業対象の国内取り組みも紹介
脱炭素活動を推進するうえでRE100 という言葉を聞いたことはないでしょうか。
RE100とは、事業活動に使用するエネルギーを100%再生可能エネルギー(以下再エネ)にするための取り組みを行っている国際環境イニシアティブの名称です。
今回はRE100についての基礎知識や、参加するための要件、実際の参加企業例まで解説します。RE100だけではなく国内の取り組みも紹介しますので、自社で再エネ推進を考えている企業担当の方はぜひ参考にしてください。
目次
RE100とは、企業が事業で使う電力を100%再エネで賄うことを目標にした国際的環境イニシアティブのこと
RE100とは「Renewable Energy 100%」の略称です。事業に使用するエネルギーを、2050年までに100%再エネにするために取り組む企業が結集した国際的なイニシアティブです。
RE100が設立された背景には、地球温暖化による気候変動抑止のために世界的に脱炭素化が促進していることが挙げられます。これまでの人間の経済活動は化石エネルギーを使用して発展してきました。しかし、そのために大量の温室効果ガスが排出され、地球温暖化が加速されました。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)はこのまま何の対策も取らずにいれば2050年には、地球の平均気温は1.5~2度上昇すると報告しています。
温室効果ガス排出を削減し温暖化を抑止するためには化石エネルギーを使用するのではなく、太陽光や風力といった自然エネルギーである再エネ利用を促進する必要があります。
RE100は世界中の企業が共同し、再エネ調達の必然性や開発の重要性を政府や電力関連機関等に訴え、最大の目的である「脱炭素社会」の実現を目指しています。
国内の参加企業
2023年1月時点で、RE100に参加している⽇本企業は77社に及びます。代表的な企業を業種別にまとめました。
業種 | 参加企業名 |
食料品 | アサヒグループホールディングス株式会社・味の素株式会社・キリンホールディングス株式会社・⽇清⾷品ホールディングス株式会社・明治ホールディングス株式会社他 |
建設業 | 旭化成ホームズ株式会社・株式会社熊谷組・住友林業株式会社・積水ハウス株式会社・大和ハウス工業株式会社・大東建設株式会社・他 |
電気機器 | 株式会社アドバンテスト・カシオ計算機株式会社・コニカミノルタ株式会社・セイコーエプソン株式会社・ソニー株式会社他 |
小売業 | イオン株式会社・生活協同組合コープさっぽろ・セブン&アイ・ホールディングス株式社・株式会社高島屋・株式会社丸井グループ他 |
不動産業 | いちご株式会社・東急不動産株式会社・東京建物株式会社・三井不動産株式会社・野村不動産ホールディングス株式会社他 |
海外参加企業
アップル・Google・マイクロソフト・イケア・ネスレ・アドビ・アストラゼネカ・バーバリー・シャネル・ダノン・ゼネラルモーターズ・ジンコソーラー・ヒュンダイ・バークレイズ・ブリティッシュランド・キャピタルワン・コカ・コーラ・コンチネンタル他
RE100の加入要件は4つ
RE100に加入するための4つの要件について詳しくご紹介します。
世界的に(国内で)認知されている信頼度の高い企業
RE100の参加要件のひとつが、国内で世界的に認知されている企業であることです。ただ認知されているだけではなく社会的信頼が高いことが重要です。環境活動先進国である欧州ではグリーンウォッシュ(企業の上辺だけの欺瞞的な環境活動)に対しての対策を強化しており、企業の環境活動における信頼度の重要性は年々高まっています。
多国籍企業
参加要件のひとつに多国籍企業であることが挙げられます。フォーチュン1000または、それに相当する企業である必要があります。フォーチュン1000とはアメリカの「FortuneMagazine」が取りまとめた認知度の高い企業のリストのことで、コア活動、割引事業、および連結子会社から得られる収益によってランク付けされています。
年間消費電力量が100GWh以上の企業(日本企業は50GWh以上)
参加企業は消費電力量が年間100GWh以上であることが条件となります。ただし、日本企業に関しては2020年に50GWh以上に緩和されました。しかし、参加要件として消費電力量50GWh以上であることはほぼ必須事項として判断されます。
RE100の目的を遂行できる影響力のある企業
参加企業はRE100の目標達成に利益をもたらす、明確で世界的な影響力があることが望まれます。再エネを100GWh以上消費するような影響力がある企業であること。また、ESG投資など環境保全を価値として取引可能な環境投資家にとって有益な企業であること。RE100に参加している環境先進企業として、目的を積極的に推進できることが求められます。
中小企業が対象の「再エネ100宣言 RE Action」という国内の取り組みも
RE100への参加要件は厳しく大企業向けと言えるため、中小企業にとって参加要件を満たすことは難しいかもしれません。その場合は、国内の再エネ100%利用を促進する新たな枠組み「再エネ100宣言 RE Action」に取り組んでみてはいかがでしょうか。
再エネ100宣言 RE Actionとは
「再エネ100宣言 RE Action(アールイーアクション)」は、企業や団体が使用エネルギーを100%再エネ転換する意思と行動を示し、利用を促進する新たな枠組みとして、2019年10月日本で設立されました。主な活動内容は、参加団体による再エネ100%宣言や再エネ100%実践支援等です。
企業のほかにも自治体や、学校などの教育機関、医療機関など300以上の団体が加盟しています。取り組みに対する参加要件はRE100に準じていますが、規模などの制限はありません。
再エネ100宣言 RE Action参加要件
参加するための要件は次の3つになります。
①遅くとも2050年迄に使用電力を100%再エネに転換する目標を設定し、対外的に公表すること
● 参加団体自身のウェブサイトへ宣言内容を掲載する
● 中間目標の設定を推奨(目標例:2020年30%、2030年60%、2040年90%、2045年100%)
● 使用電力が再エネ100%になっていなくても参加可能
②再エネ推進に関する政策エンゲージメントの実施
● 再エネの普及に関する政策提言への賛同推奨・協議会構成団体等が支援予定
③消費電力量、再エネ率等の進捗を毎年報告すること
● 再エネの定義はTCGのRE100の基準に準ず
● 年次報告書等に消費電力量の全団体集計値と各団体の再エネ率を公表
再エネ100宣言 RE Actionの参加メリット
再エネ100宣言 RE Actionに参加することによって得られるメリットを具体的にご紹介します。
● 企業価値の向上・他社との差別化が可能
● 参加することで企業として環境活動に取り組む上の裏付けになる
● ビジネスチャンスの拡大 商談の際のアピールやお客様への安心感につながり信用性が高まる
加入しなくとも、自社で再エネ化を進めておいて損はない理由4つ
RE100や国内の枠組みに加入しないとしても、自社の再エネ化を促進することには大きな意義があります。再エネ化を進めることで得られるメリットを、次の4つの視点からわかりやすく解説しましょう。
①環境対策をしていることをアピールできるから
世界のSDGsへの取り組みをはじめとして、消費者や投資家の環境活動への関心は高まり続けています。脱炭素活動において再エネ推進は最重要な取り組みであり、再エネ市場も拡大の一途をたどっています。再エネ推進に積極的に取り組む企業は、社会に対して環境対策を行っているアピールになり環境価値が向上します。
②将来的に始動する「排出権取引」に備えられるから
2026年度には排出量削減量を市場で売買する「排出量取引」が、本格手に稼働される予定です。「排出権取引」は、政府が推進している「グリーン成長戦略」の柱でもあるため、今後市場の拡大が予測されます。将来的な排出権取引市場に備えるためにも、再エネ推進の取り組みは重要です。
③石油や石炭のように枯渇する恐れがないから
地球が長い年月をかけて蓄積した化石や石油には限りがあります。資源エネルギー庁の資料によると、石油や天然ガスが使い続けられる年数は今後約50年、石炭は約130年、ウランは約110年程度と考えられています。
しかし、太陽光や風力を利用する再エネは、自然環境を活用して生み出すエネルギーのため、石油や石炭のように枯渇する不安がありません。
④電気代を節約できる場合があるから
複雑な国際情勢が続けば燃料費は高騰し続け、電力会社の電気代も上昇し続けます。実際に日本のほとんどの大手電力会社は2023年に入り、電気代を値上げしました。このままの状況が続けば、事業活動にかかるエネルギーコストは膨らむ一方です。
自社のエネルギーを再エネ化することで、化石エネルギーに依存することなく電気を調達することが可能です。企業や団体単位で再エネを推進すれば、それだけコストも低減さ電気代の節約につながります。
自社の再エネ化を推進するなら、初期投資0円で太陽光から電力を調達できるSustechのPPAサービスをぜひ利用してはいかがでしょうか。
まとめ
再生可能エネルギーを推進する国際的な取り組みであるRE100や国内での取り組み再エネ100宣言 RE Actionについて解説しました。
これらの知識を深める中で、中小企業が脱炭素に取り組む重要性についてもご理解いただけたのではないでしょうか。
今後、脱炭素は経済界でも重要な取り組みとして、企業の対応が迫られることは間違いありません。ぜひ、本コンテンツを参考に再エネ推進への取り組みを社内で検討してはいかがでしょうか